の図が端的で分かりやすいので、今期の内合(2022年1月9日)を挟む前回外合から次回外合までに置き換えて図化してみました(左図)。金星アイコンは5日おきで、もちろん新しい光度式を使っています。最大光度は最大光輝より若干太陽側で起こるようですね。ちなみに記事頭に示した三つのソースは次のようになっていました。厳密に決められているわけではありませんが、当記事では敢えて日本語を分け、Greatest Brilliancyを最大光輝、Maximum Brightnessを最大光度として区別します。
- 天文年鑑
- 2021年版以前は日時が最大光輝、等級は古い計算式。
- 2022年版から日時が最大光輝、等級は新しい計算式。
- アストロアーツweb
- いずれも日時が最大光度、等級は古い計算式。
- ※2018年のカレンダーまでは日時が最大光輝でした。なぜ変えた?
- 暦計算室
- いずれも日時が最大光輝、等級は新しい計算式。
- ※暦象年表の発表に先立ち、2021年後半のバージョンから改修されたようです。
みなさんの資料はいかがだったですか?金星光度が急に明るくなったというわけではなく、むしろこれまでの値が間違っていた(観測より計算値が低めだった)ということですね。試しに1950年から2050年まで一世紀の金星最大光輝/光度を新旧方式で計算したので記事末に掲載しておきます。我が家の本棚にあった一番古い天文年鑑1988年版には最大光輝として「5月7日6h、-4.5等」「7月20日2h、-4.5等」と記載してあり、下表と一致します。天文年鑑2022年版は最大光度の言葉が光輝の意味で使われていますので、いつからどんな理由で変えたのか興味がわきました。
下表を見ると最大の明るさは一様ではなく、緩やかに振動していることが分かるでしょう。また。新方式の計算では最大光輝と最大光度の日付差が旧方式より大きくなってしまったことも特徴です。どちらが良い悪いという話ではなく、定義として「最大光輝とは輝面積極大のこと」と言ってるわけですから問題ないのだけれど、日本語の曖昧さ故に「等級MAXの日」と誤解されやすいまま放置するのも何だかモヤモヤしますね…。こういうのは誰がビシッと決めてくれるのでしょう?
今回は金星のみ取り上げましたが、他の惑星も変わっています。興味が湧いた方は詳しく調べてみてください。
【金星が一番明るいとき】
最大光輝日時
(JST) |
光度
(新方式) |
光度
(旧方式) |
視直径
(秒角) |
最大光度日時
(新方式/JST) |
光度
(新方式) |
視直径
(秒角) |
最大光度日時
(旧方式/JST) |
光度
(旧方式) |
視直径
(秒角) |
1950-03-07 04:48 |
-4.848 |
-4.614 |
40.134 |
1950-03-02 04:30 |
-4.862 |
43.582 |
1950-03-03 19:51 |
-4.618 |
42.418 |
1951-07-29 15:11 |
-4.715 |
-4.485 |
37.649 |
1951-08-03 20:34 |
-4.729 |
40.937 |
1951-08-01 11:07 |
-4.487 |
39.390 |
1951-10-11 04:30 |
-4.805 |
-4.579 |
38.302 |
1951-10-06 11:32 |
-4.816 |
41.179 |
1951-10-10 00:11 |
-4.580 |
38.999 |
1953-03-08 09:34 |
-4.827 |
-4.601 |
38.349 |
1953-03-12 22:35 |
-4.837 |
41.161 |
1953-03-09 09:16 |
-4.602 |
38.939 |
1953-05-19 14:55 |
-4.734 |
-4.503 |
37.972 |
1953-05-14 14:44 |
-4.748 |
41.188 |
1953-05-16 20:41 |
-4.506 |
39.706 |
1954-10-11 17:46 |
-4.830 |
-4.595 |