金星の最大光度に戸惑っていませんか?
2022-02-08


の図が端的で分かりやすいので、今期の内合(2022年1月9日)を挟む前回外合から次回外合までに置き換えて図化してみました(左図)。金星アイコンは5日おきで、もちろん新しい光度式を使っています。最大光度は最大光輝より若干太陽側で起こるようですね。ちなみに記事頭に示した三つのソースは次のようになっていました。厳密に決められているわけではありませんが、当記事では敢えて日本語を分け、Greatest Brilliancyを最大光輝、Maximum Brightnessを最大光度として区別します。




みなさんの資料はいかがだったですか?金星光度が急に明るくなったというわけではなく、むしろこれまでの値が間違っていた(観測より計算値が低めだった)ということですね。試しに1950年から2050年まで一世紀の金星最大光輝/光度を新旧方式で計算したので記事末に掲載しておきます。我が家の本棚にあった一番古い天文年鑑1988年版には最大光輝として「5月7日6h、-4.5等」「7月20日2h、-4.5等」と記載してあり、下表と一致します。天文年鑑2022年版は最大光度の言葉が光輝の意味で使われていますので、いつからどんな理由で変えたのか興味がわきました。

下表を見ると最大の明るさは一様ではなく、緩やかに振動していることが分かるでしょう。また。新方式の計算では最大光輝と最大光度の日付差が旧方式より大きくなってしまったことも特徴です。どちらが良い悪いという話ではなく、定義として「最大光輝とは輝面積極大のこと」と言ってるわけですから問題ないのだけれど、日本語の曖昧さ故に「等級MAXの日」と誤解されやすいまま放置するのも何だかモヤモヤしますね…。こういうのは誰がビシッと決めてくれるのでしょう?

今回は金星のみ取り上げましたが、他の惑星も変わっています。興味が湧いた方は詳しく調べてみてください。

【金星が一番明るいとき】
最大光輝日時
(JST)
光度
(新方式)
光度
(旧方式)
視直径
(秒角)
最大光度日時
(新方式/JST)
光度
(新方式)
視直径
(秒角)
最大光度日時
(旧方式/JST)
光度
(旧方式)
視直径
(秒角)
1950-03-07 04:48 -4.848 -4.614 40.134 1950-03-02 04:30 -4.862 43.582 1950-03-03 19:51 -4.618 42.418
1951-07-29 15:11 -4.715 -4.485 37.649 1951-08-03 20:34 -4.729 40.937 1951-08-01 11:07 -4.487 39.390
1951-10-11 04:30 -4.805 -4.579 38.302 1951-10-06 11:32 -4.816 41.179 1951-10-10 00:11 -4.580 38.999
1953-03-08 09:34 -4.827 -4.601 38.349 1953-03-12 22:35 -4.837 41.161 1953-03-09 09:16 -4.602 38.939
1953-05-19 14:55 -4.734 -4.503 37.972 1953-05-14 14:44 -4.748 41.188 1953-05-16 20:41 -4.506 39.706
1954-10-11 17:46 -4.830 -4.595

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