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★金星がいちばん明るい日はいつ?何等?
みなさんは星空観察する際にどんな資料や天文カレンダーをお使いでしょうか?試しに次の項目がどのように載っているか調べてみてください。複数の印刷物やweb情報をお使いなら全部比べてみましょう。
2021年12月と2022年2月に起こる「金星がいちばん明るい日」はいつですか?また、そのとき何等に達しますか?
左画像はもうすぐ今期一番明るくなる金星の姿。2月7日9:45ごろの撮影で、太陽離角は約36.193°、輝面比は約20.688%、視直径は約44.567″。満ち欠けをする上に視直径が大きく変わる金星の明るさを見積もることは簡単ではありません。
例えば天文年鑑には次のように書いてありました。
- 2021年12月4日 23:18、マイナス4.7等(2021年版)
- 2022年2月13日 3:33、マイナス4.9等(2022年版)
ネットの例として、アストロアーツweb内の星空ガイドでは下記の通り。
- 2021年12月8日 1:16、マイナス4.7等
- 2022年2月9日 22:48、マイナス4.6等
正確無比であろう国立天文台・暦計算室では以下のように示されます。
- 2021年12月4日 23時、マイナス4.9等
- 2022年2月13日 3時、マイナス4.9等
時刻が少し違っていたり四捨五入で数値がずれるのは大目に見るとしても、いちばん明るい日付も等級もこんなに統一されていないのでは何を信じて良いか分からなくなりますね。そもそも金星がマイナス4.9等って今まで聞いたことありますか?新しい現象でも起こってるのでしょうか。
私が惑星等級の違和感に気付いたのは数年以上前でした。どの惑星でも言えることですが、特に金星の最大等級は国立天文台・暦計算室の結果とNASA-HORIZONSの値とでかなり違っていました。また、かつて国際宇宙ステーションの日面通過予報などで絶大な人気のあったCalSKY(現在は維持費不足で運営終了)の値とも異なりました。
去年の年末近く、
暦wiki「惑星の等級」や、
「惑星の明るさの計算方法が変わりました」の情報で、日付の違いや等級のからくりがやっと公にされたのです。(※2022年2月現在、
暦象年表の改訂について (2022)の発表にともなって暦wikiのページ構成・解説内容が昨年から変わっています。)
★複雑な面積体の光度
面積を持つ惑星や月などの天体(自ら光らないもの)では点光源の恒星と異なり、光度の扱いが複雑です。「光源に近いほど明るい」「観測者に近いほど明るい」「照らされている面積が広いほど明るい」といった基本要素のほか、大気の影響や衝効果なども関わってきます。月や火星など広範囲の地形でアルベドが大きく異なる場合、あるいは恒星間天体オウムアムア(A/2017 U1)や小惑星リュウグウのように直径が均等ではない形の場合、自転で観察者にどの面を向けてるかも影響するでしょう。環のある土星はもっと複雑。可視光だけでなく赤外や紫外波長の「明るさ」まで考慮すると更にややこしいでしょう。