禺画像] 一ヶ月近く前に皆既月食がありました。そのとき「ブルーベルト」あるいは「ターコイズフリンジ」と呼ばれる現象が話題になりました。簡単にいうと左図のイメージように、月を隠す地球の影(本影)の中は独特の赤味がありますが、外縁近くは少しだけ青光や緑光の成分が強いよ、というものです。(※残念ながら肉眼では確認できません。デジカメでRAW撮影して画像処理する必要があります。)日本ではブルーという表現ですが、元々これを言い出した海外ではターコイズ色、つまりトルコ石の青緑色と表現されていたそうです。これまで「月食は赤銅色」と刷り込まれていた多くの天文ファンは驚き、見た目にも美しいので色彩強調した画像があちこちのサイトを飾りました。
正直、私はこの現象に少し懐疑的です。正確に言うと二つの点が挙げられます。ひとつは「現象は起こっているかもしれないけど、サイトに出回っている多くの画像は『ブルーを出すために作られた』画像じゃないの?」ということ。ブルーベルトは月食画像を適当なソフトで色彩強調すればすぐ見えてきます。でも「青のトーンカーブを引き上げて云々…」というやり方はちょっと乱暴な気がします。月面の色ってとても繊細、加えて皆既中は低輝度。カメラに組み込まれた画像処理エンジンにしても後付けのソフト処理にしても、小さなパラメーターの変化が大きな差を生みます。絵の具で青く染めてしまうようなやり方ではなく、科学的に間違いのない手順を研究すべきでしょう。左上図は色々な意味で間違っています。最初からこういうイメージを抱いて「写真作り」してしまうと、それはもはや天体写真ではなく美術写真になっています。
もうひとつの懐疑点は「この現象の説明が『既成事実』のように扱われてる」違和感です。むろん、間違いだと言いたいのではありません。自然現象ですから最近の月食だけ特別に青くなったということは考えにくく、今になってこの現象が取りざたされるのはしっくり来ないわけです。成層圏が赤い光を吸収するなんて聞いたこともないし、事実だとしてもそれが画像に写るレベルなのかも疑問です。少なくとも目ではっきり確認できるものではありません。以前からあったけど説明されてこなかったことなのか、最近になって発見されたのか、最近になって地球に変化があったのか……もっとたくさんの検証をしてほしいと思っています。(※個人的にはデジカメのせいだと考えます。これも
2018/02/02記事を参照してください。)
天体写真の画像処理をやったことがある方はお分かりと思いますが、目ではっきり見えないものを撮っていると、一般写真以上にその色が「正しい」保証が得にくいもの。それゆえ、見たことがある色、お気に入りの色に似せようと意志が働いてしまいます。例えばネット上に山ほどある夕焼け空の画像は、どれが正しい色でしょうか?全部それっぽく見えますから全部正しいでしょうか?夕焼けの色が強調され過ぎてないでしょうか?カメラの差は?レンズの差は?jpegって色を減らしてるんじゃなかった?見ているモニターの差はないの?……全工程で「これが正しい」と言える写真なんて、世の中に無い気がしてきます。