皆既月食の発色・デジカメとターコイズフリンジ
2018-02-02


二日前の1月31日に起こった皆既月食を撮影していたとき、撮影条件によってターコイズフリンジ(ブルーベルト)の色が目立つときと目立たないときがあることに気付きました。色々検証と考察したことを書き留めておきます。ターコイズフリンジ現象そのものの考察ではありませんのであしからず。なお本記事を元に「本影の中がどうなっているか」を画像化したものは別途2月4日記事に掲載しました。本記事と併せてご覧ください。

今回私は「8枚連写」という通常スタイルで約10分おきに撮影しました。露出を何パターンか変えますから、シーン毎に「8枚連写×数パターンの露出」ということです。最後の最後で雲に阻まれましたが、今回の月食全体で504枚撮影しました。(もちろんRAW画像。)なお連写と言っても約1、2秒程度の間を置いて振動ブレを極力抑えています。

禺画像] さて、左のA1からA4の画像は皆既が始まった直後のシーン。撮影時刻と露出は表記の通りです。前述のように8枚1セットですが、1/10秒露出の最後(8枚目)がA1、1/4秒露出の最初(1枚目)と最後(8枚目)がA2とA3、1秒露出の最初(2枚目)がA4です。

注目して欲しいのは「露出が変わった前後」つまりA1とA2、およびA3とA4です。A2とA3は8枚セットのひと続きなので見た目は一緒ですが、露出が変わったところは青やシアン成分が随分違う感じがしませんか?撮影した瞬間ビックリしました。露出を切り替えて次を撮影するのに十数秒しか経ってませんから、天候急変など自然要因で色が変化したとは考えにくいですね。

露出以外のカメラ設定は変えてませんが、この撮影の場合ホワイトバランスがオートでしたので、カメラ自身がコマごとに内部設定値を変えています。だから見た目の色合いが変化したのです。「オートになっている設定はユーザーが触らなくてもカメラ自身の判断で変わってしまう」という落とし穴を覚えておきましょう。参考までに内部記録されていた色温度と色補正(カブリ補正)の値は以下の通りでした。



禺画像]
では、撮影画像の色温度をソフトウェアで強制的に変えてみましょう。サンプルとして上のA2を使います。デフォルト(カメラ判断)では「色温度:3350、色補正:-3」だったものを右画像のB1からB4のように変えてみました。色補正も強制的に全て0です。CTが小さいほど青っぽく、大きいほど黄やオレンジが強くなりましたね。フィルム時代から写真を撮っている方は、フィルムの種類に「デイライト用」や「タングステン用」があったことを覚えているでしょう。デジカメをオートで使ってるとあまり意識しませんが、用はホワイトバランス補正のこと。どんなデジカメにもプリセットで昼光とか蛍光灯とか曇天とか、たくさんのモードがありますね。

快晴の日なたできちんと発色するようなモードが「ホワイトバランス:昼光」で、標準とされます。昼光は5000ケルビンというように光源の「色温度」が決まっています。電球やロウソクなど「顔が黄色やオレンジに染まる」ような光源は温度が低く、2000とか3000になるでしょう。蛍光灯なら4000、フラッシュ(ストロボ)なら6000という具合。デジカメの場合表現が逆になるので間違えそうですが、例えばB1画像は「光源が3000ケルビン(オレンジ色っぽい)なので、足りない青光を強くして補正しましたよ」という意味。これは後からソフトウェアで補正するときも同じで、色温度の値を下げるほど青味が強調されてしまうのです。

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