土星が太陽から最遠となりました
2018-04-18


禺画像] たぶん天文ファンでもほとんどの方が気にも留めない現象が昨夜17日20時台に起こりました。それは「土星の遠日点通過」です。つまり昨夜の土星は軌道一周ぶんの中で太陽から最も遠くなったのです。とは言っても何か派手なことが起こる訳でもなく、むしろ遠くて暗くなってしまうので惑星好きな方からは疎まれる現象かも知れません。

土星はおおよそ30年かけて太陽を巡ります。多くの惑星と同様に軌道が若干楕円になっていますから、「近日点」と「遠日点」が存在します。30年一巡りの中で1回ずつ通りますから、人間の一生でそのタイミングに立ち会えるのは多くても各3回ずつ。そのうち1、2回は幼少だったり高齢だったりするので、まぁせいぜい1回ずつ意識できれば良いほうでしょう。それが昨夜だったわけですね。こう考えると、このたいしたことない現象でも貴重に思えませんか?

ところで、地球と土星は約1年ちょっとの周期で衝を繰り返します。衝の日は地球から見た土星が太陽と正反対になり、衝の近辺で地球〓土星間の最接近が起こるのです。そのときが年間でいちばん大きく明るく見えます。今年の衝は6月27日22時台、そして最接近は約4時間後です。

土星と地球の最接近は、なぜか火星の大接近ほど騒がれません。同じような現象なのにこの扱いの差はいったい…?それはともかく、以前に作った「火星と地球の接近図」(→アーカイブ「火星の地球接近」参照)と同じように、土星の接近図も計算&描画してみました(左上図)。火星の図と比べるととてもシンプルですね。この図は黄道座標の黄経値のみで描いていますが、実際は地球・土星共に画像平面(=黄道面)から若干上下(黄緯方向)にはみ出ます。土星遠日点の日心黄経は約273°あまりなので、春分点方向と描いてある位置から反時計回りに273°回った辺り…つまりこの画像で太陽の真下方向あたりが土星遠日点方向です。もちろん遠日点の反対側が近日点となります。

下には図の描画に先立って計算した土星・地球の接近日時諸元表を掲載しました。前回の土星近日点(2003年7月下旬)から次回の近日点(2032年11月末)の間に起こる全ての接近を書き出してあります。最初にのべたように昨夜遠日点だったわけで、今年を含む前後数年間は最接近時の光度が暗くなっていますね。そしてナント!今年の最接近はここに書いてある全最接近の中で「もっとも遠い最接近」なのでした。良くも悪くも、こうした巡り合わせは正に天のみぞ知るところでしょう。

【土星と地球の接近】  ※衝の日時とは若干違いますのでご注意。
地心接近日時
(JST)
地心距離
(AU)
地心距離
(km)
光度
(等)

視直径
(秒角)
本体赤道
視直径
(秒角)
本体極
視直径
(秒角)
2004年1月1日 1:43 9.0333783680 1204282161 0.43 46.85 20.64 18.62
2005年1月14日 3:43 9.0592272066 1208095953 0.44 46.70 20.58 18.56
2006年1月28日 3:56 9.1115900410 1215757515 0.47 46.41 20.45 18.45
2007年2月11日 0:26 9.1869408666 1226756575 0.51 45.99 20.27 18.28
2008年2月24日 15:50 9.2804429494 1240375723 0.56 45.49 20.04 18.08
2009年3月9日 1:55 9.3864761050 1255791281 0.61 44.93 19.80 17.86
2010年3月22日 7:14 9.4991820384 1272150865 0.67 44.35 19.54 17.63
2011年4月4日 7:54 9.6128389033

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