母子共演!?ふたご群の流星とファエトン
2017-12-13


禺画像]
昨夕から夜半近くまでは雲が多く、空の観察ができませんでした。夜半前から少しずつ晴れ間が出てきましたが、ときどき空全体を雲が横切るので長時間の露出は難しそう。

そんなことを考えていたら、ふたご座流星群と思われる大流星が立て続けにふたつも!片方はマイナス5等級の立派な火球でした。とっさに流星撮影へテーマを切り替えました。流星撮影は30秒程度の短時間露光で大量撮影しますから、ときどき雲が通ってもなんてことありません。それに、ふたご座流星群はなだらかなピークなので、14日を待たなくても結構見えるのです。アパートから見える空は大変狭いですが、苦労してフレーミングし、撮影開始しました。

真夜中少し前から200枚ほど撮影したところ、右上画像のように立派な流星が引っかかってくれました。時刻は0:50ですから、人工衛星ではありません(明るく見える低高度の人工衛星には太陽が当たらない時間)。飛行機の光り方とも違います。光跡の色を見ると緑や赤に変化し、流星のプラズマ光の特徴が出ています。

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ただ、ふたご座から流れているものの、ふたご群のものとは違うようです。群流星なら延長線上がカストル付近の放射点を通りますし、放射点から出たとしてもこんな近くならもっと短い経路になるでしょう。(※地球の公転に伴って放射点は日々ゆっくり移動します。ピーク日より前ほど画像の上寄り、ピーク日より後ほど画像の下寄りとなります。右図は国際流星機構の2017年資料を基にステラナビゲーターで描いたふたご座流星群の放射点移動。長期間の観察ではこの移動を考慮する必要があります。)

禺画像] 2時を過ぎると安定した天気になってきました。既に気温は零下。カメラのバッテリーも切れたので、流星はいったん終了。頭を切り換え、ふたご座流星群の母天体である小惑星ファエトンを撮影することにしました。月が登っていましたがだいぶ細くなって、影響は少なくなりました。

12月10日の撮影ではあまりに動きが速くて、小惑星基準のコンポジットが間延びしてしまいました。今日は焦点距離を半分以下にして、露出も更に削って再挑戦。その結果が左画像(中央の点像がファエトン)です。500mmレンズで30秒露出×60枚合成ですが、これでも原画は横に伸びてますね。明るいので、もっと切り詰めても写ると思われます。

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ファエトンは光度のピークを迎えています。右図はステラナビゲーターで概算して描いた光度グラフ。地球や太陽との距離だけでなく、表面の反射率や形状、自転などによって小惑星の明るさは複雑に変化します。ファエトンの地球最接近は12月17日8:00JSTごろですが、その二日前に光度のピークがあって、その後はいったん急速に減光します。

右グラフでは来年1月末に再びアマチュアが楽しめる光度になると勘違いしそうですが、この頃は太陽にとても近く、遠ざかったころにはすっかり暗くなってしまうのです。ですから、観察するなら向こう一週間が勝負と見なしてください。可能ならふたご座流星群と共に「母子の共演」をお楽しみくださいね。

禺画像] さてもうひとつ。一通り観察を終えて東を仰ぐと、まもなく薄明が始まる空に下弦過ぎの月と惑星たちが並んでいました。体力がまだ少し残っていたので、カメラを担いで見晴らしの良いところへ移動。天文薄明中の東天をカメラに収めました(左画像)。


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