禺画像] 1977年に打ち上げられ、木星や土星の素晴らしい画像を我々に見せてくれた探査機ボイジャー1号(左/引用:NASA)。現在は太陽系の圏外まで到達してなお稼働中で、Interstellar Missionと称される探査データを日々地球に届けてくれています。ネタバレですが「スタートレック」の劇場版第一弾(TMP)にも“番号違い”で登場しましたね。同機に積まれた
ゴールデンレコードが2018年1月ごろ
一般向けにリリース(アナログレコード版およびCD版)されるとの情報も最近耳にしました。
このボイジャー1号の機能延命のため、37年ぶりにエンジン制御テストに成功したというニュースが一週間近く前に流れました(
→NASA原文参照)。ボイジャー世代の私としてはまさかの胸が熱くなる展開。おおよその事情は次の通り。正常な通信のためアンテナを正しく地球へ向ける必要があるのですが、方向制御用小型エンジンの調子が数年前から悪化。そこでエンジニアが知恵を絞ったあげく、軌道修正に使う大型エンジンを10ミリ秒という超短時間噴射することで探査機の回転を試みた、ということでした。
言葉で書くと簡単ですが、タッチパネルもマウスも無い、フロッピーディスクでさえやっと発明されたばかりの40年前の機器制御をいまプログラミングしなくてはならない困難や、細かな制御に向いていない軌道修正エンジンで短時間制御がうまく行く保証が無い(前例が無い)など、課題てんこ盛りだったことでしょう。試験は11月28日に行われ、送信が地球から片道19.5時間もかかる指令コードは無事エンジンを動かすことができたのでした。一連の試験の成功で、ボイジャー1号は少なくとも今後2、3年現役を続けられるようです。
ボイジャー1号は地球から見てどの辺りを飛んでいるのでしょうか?
Heavens-Aboveサイトには「太陽系脱出軌道上の宇宙機」メニューがあって、主な探査機の位置が大雑把に分かります。でももう少し正確に知りたいと思い、
HORIZONS Webを使って計算をしてみました。結果をステラナビゲーターで表示させたのが右図および下図です。打ち上げ翌日から2018年元旦まで全経路を描きました。途中いくつかの「要所」も示してあります。(※すべて地球から見た見かけの位置なのでご注意。便宜上、視点を地心とした計算です。)
当初は木星・土星探査のため、黄道に沿って飛んでいたことが分かります。土星を離脱する際の姿勢制御で黄道を離れ、以来37年間エンジンは使われていなかったのでした。(※下A図は各惑星接近の頃の拡大星図。最接近日の各惑星位置も描いてあります。)こうして平面に描くと距離感が無くなってしまいますが、実際は奥行き方向にどんどん遠ざかっているかと思うと切なくなります。今日の時点で地球から141.278AU(天文単位)、つまり地球〓太陽間距離間の141倍あまりも遠いところにいるのです。かつて日本の小惑星探査機「はやぶさ」が数々のトラブルに見舞われながら地球帰還する旅路が孤独感たっぷりに扱われましたが、ボイジャーの飛行の足元にも及びません。