近年では破格のエネルギーだった台風5号
2017-08-09


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長い時間に渡って各地を苦しめた台風5号は、本日9日3:00温帯低気圧に変わり台風としての寿命を終えました。まだ速報による数値ではありますが、発生から消滅まで450時間、移動した距離は7068.52kmに及びます。あちこちでも報道されていますが、これは1986年14号の462時間、1972年7号の456時間に次ぐ3位の記録です(→8月2日の記事参照)。また日本に上陸した台風に限定すれば下表1のように断とつ1位の寿命です。

右のグラフは速報値を元に計算した5号の移動速度と移動距離です。7日午後に上陸したあと速度を上げて駆け抜けるかと思いきや、再度速度を落として北陸や東北に丸一日雨を降らせました。この台風がもたらしたエネルギーがどれほどだったか気になったので、ACE(Accumulated Cyclone Energy)も計算してみました。

禺画像] ACEを全経路で合計した値の上位20番までを下表2に掲載しましたが、5号はなんと3位。ここ10年ほど10位以内に入った台風はなかったのです。また熱帯低気圧時期も含む6時間おきの場所で算出し、1°メッシュの地図に描いたものが左図です。台風がどこにエネルギーを放出していったか、大雑把な分布が分かるでしょう。各メッシュの合計が下表のACEとなる訳です。海面が高温の場所に南下した頃から奄美地方に停滞した頃まで極めて高い値ですね。(※メッシュが描かれていない場所で被害がなかったわけではありません。ACEは台風の広がりが考慮できないことや、時間分解能が低くて飛び飛びになってしまう欠点があります。)

ACEは時刻、中心の最大風力、地理位置を使った集計が可能な「台風の強度」や「蓄積エネルギー」とも言える数値。5号の値が大きいのは台風期間と最大風力が大きかったことが反映されています。ACE値に関しては2016年12月26日の記事もご覧ください。なにかと記録尽くめの台風5号でしたが、今後様々な角度から分析されることでしょう。河川氾濫などもありましたが、ひとまず過ぎ去ってくれてホッと一息…。

【表1:上陸台風の寿命・トップ20】
順位 台風番号 寿命
(時間)
移動距離
(km)
上陸年月
1 2017年5号 450 7068.524 2017年8月
2 1974年14号 366 6547.198 1974年8月
3 1983年5号 330 4254.405 1983年8月
4 2015年11号 330 5935.318 2015年7月
5 1960年16号 324 5546.197 1960年8月
6 1979年20号 324 6872.195 1979年10月
7 2015年12号 324 5155.369 2015年7月
8 1992年11号 312 4979.430 1992年8月
9 2014年11号 312 5184.368 2014年7月
10 1997年19号 309 6716.176 1997年9月
11 1964年14号 306 5219.437 1964年8月
12 2002年6号 303 6173.275 2002年6月
13 2011年6号 300 6173.936 2011年7月
14 1991年19号 294 7307.860 1991年9月

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