長い時間に渡って各地を苦しめた台風5号は、本日9日3:00温帯低気圧に変わり台風としての寿命を終えました。まだ速報による数値ではありますが、発生から消滅まで450時間、移動した距離は7068.52kmに及びます。あちこちでも報道されていますが、これは1986年14号の462時間、1972年7号の456時間に次ぐ3位の記録です(
→8月2日の記事参照)。また日本に上陸した台風に限定すれば下表1のように断とつ1位の寿命です。
右のグラフは速報値を元に計算した5号の移動速度と移動距離です。7日午後に上陸したあと速度を上げて駆け抜けるかと思いきや、再度速度を落として北陸や東北に丸一日雨を降らせました。この台風がもたらしたエネルギーがどれほどだったか気になったので、ACE(Accumulated Cyclone Energy)も計算してみました。
禺画像] ACEを全経路で合計した値の上位20番までを下表2に掲載しましたが、5号はなんと3位。ここ10年ほど10位以内に入った台風はなかったのです。また熱帯低気圧時期も含む6時間おきの場所で算出し、1°メッシュの地図に描いたものが左図です。台風がどこにエネルギーを放出していったか、大雑把な分布が分かるでしょう。各メッシュの合計が下表のACEとなる訳です。海面が高温の場所に南下した頃から奄美地方に停滞した頃まで極めて高い値ですね。(※メッシュが描かれていない場所で被害がなかったわけではありません。ACEは台風の広がりが考慮できないことや、時間分解能が低くて飛び飛びになってしまう欠点があります。)
ACEは時刻、中心の最大風力、地理位置を使った集計が可能な「台風の強度」や「蓄積エネルギー」とも言える数値。5号の値が大きいのは台風期間と最大風力が大きかったことが反映されています。ACE値に関しては
2016年12月26日の記事もご覧ください。なにかと記録尽くめの台風5号でしたが、今後様々な角度から分析されることでしょう。河川氾濫などもありましたが、ひとまず過ぎ去ってくれてホッと一息…。
【表1:上陸台風の寿命・トップ20】
順位 |
台風番号 |
寿命
(時間) |
移動距離
(km) |
上陸年月 |
1 |
2017年5号 |
450 |
7068.524 |
2017年8月 |
2 |
1974年14号 |
366 |
6547.198 |
1974年8月 |
3 |
1983年5号 |
330 |
4254.405 |
1983年8月 |
4 |
2015年11号 |
330 |
5935.318 |
2015年7月 |
5 |
1960年16号 |
324 |
5546.197 |
1960年8月 |
6 |
1979年20号 |
324 |
6872.195 |
1979年10月 |
7 |
2015年12号 |
324 |
5155.369 |
2015年7月 |
8 |
1992年11号 |
312 |
4979.430 |
1992年8月 |
9 |
2014年11号 |
312 |
5184.368 |
2014年7月 |
10 |
1997年19号 |
309 |
6716.176 |
1997年9月 |
11 |
1964年14号 |
306 |
5219.437 |
1964年8月 |
12 |
2002年6号 |
303 |
6173.275 |
2002年6月 |
13 |
2011年6号 |
300 |
6173.936 |
2011年7月 |
14 |
1991年19号 |
294 |
7307.860 |
1991年9月 |
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