強大なノロノロ台風5号、どこへ向かう?
2017-08-02


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禺画像] 南西に進行していた台風5号は「非常に強い台風」となりながら、7月の終わり頃から北西へ進路を変えました。そうこうしているうちに本日9時、台風11号「NALGAE/ナルガエ」が発生してしまいました。直前の台風10号発生から3日18時間後、消滅からは1日18時間後となります。5号発生からだとなんと12日経ったことになります。

左画像は本日12:00の気象衛星画像(画像元:NICTサイエンスクラウド/地図・経緯線などは筆者)。赤点円は各台風中心の直径1000km円。また青緑線は熱帯低気圧時期を含む、5号が通ってきた経路。(※ちなみに当記事と関係ないですが、本日やっと北陸・東北地方が梅雨明けしました。左画像でも晴れ間が垣間見えます。相変わらず東北から北海道南岸に青緑色の海面変色が見えてますよ。→関連記事

ニュースなどで「5号は長寿」だと言われてますが、息の長い台風は年にひとつくらい発生してます。参考までに寿命が300時間以上の台風リストを記事末に掲載しました。1951年から去年2016年までの気象庁ベストトラックに記録された1726個の台風のなかには46個あります。下の(A)図はこの計算をするついでに、寿命の分布を調べたグラフ。多くの台風は50時間以上150時間以下あたりに収まるようですね。なお台風寿命は二通りの考え方があって、ひとつは発生から消滅までの時間、もうひとつは途中で一時的に熱帯低気圧に衰えた場合(いわゆる復活台風のケース)、その時間を含めない厳密な方法です。(A)図はこの厳密な時間でグラフ化しましたが、下表の長寿台風リストには双方の時間が書いてあります。


さて長寿もさることながら、台風5号の怖さの本質は「スピードが遅い」事だと思います。例えば同じ寿命3日間の台風でも、日本の端から端まで3日で駆け抜けたものと、ある街の上空で3日間停留したものとでは災害レベルが全く異なるでしょう。上の(B)図は(A)同様にベストトラックから導ける移動速度の分布をグラフ化したもの。15km/h前後にピークがあり、早いものは100km/h越え、遅い場合は止まってしまうケースもありました。もちろんひとつの台風は移動中にどんどん移動速度を変えますよ。

禺画像]
では台風5号の移動速度はどのように変化してきたでしょうか?今日12:00までの位置速報から、右グラフを描いてみました。台風6号の残骸を巻き取り南西向きに転進を始めた頃からスピードが速まっていますね。その後7月末には10km/h未満になりました。9km/h(5ノット)以下の台風を気象庁が発表する際は、数値表示でなく「ゆっくり」(方向が分かる場合)、または「ほとんど停滞」(方向が分からない場合)と表現されます。5号が「ゆっくり」と表現されたのは熱帯低気圧ができたての頃、22日から23日の頃、そして7月末、という具合に度々ありました。


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