オリエンタレ盆地はいつ見える?
2016-10-31


お察しのように、月面A地形を見つけるときの目印になるグリマルディ(Grimaldi)やリッチオリ(Ricchioli)あたりが見やすい時期、つまり月面中央経度がマイナスに大きくなる時期が良いことになります。また盆地が南半球なので月面中央緯度もマイナスになったほうが良いですね。しかもこの地形に光が当たらないと見えませんので、満月以降に限られます。できれば陰影が付く下弦以降の時期がお勧め。ところがそうそう機会はなくて、仮に「月面中央経度が-5°より小さい」「月面中央緯度が-2°より小さい」「下弦以降かつ太陽から20°以上離れてる」という条件で今日以降2020年まで探してみたら次の期間しかありませんでした。(※秤動は各日0時JSTの地心計算で判断。)

もちろん条件を緩くすれば日付は増えますが、逆に盆地は見えにくくなってしまうでしょう。このわずかなチャンスに晴れるとも限りませんが、38億年前の巨大インパクトに思いを馳せながら眺めてみたいなぁと思うのです。

禺画像] 【補足】月の首振り(秤動)を考えるとき、地球の中心(地心)で計算する場合と、地球表面の観察地(測心)で計算する場合とでは結果が少々異なります。日本付近では観察日時によって最大1°近くずれることもあります。左図は2016年10月から12月の例。当ブログ基準の茨城県つくば市と、比較のための沖縄県那覇市で3時間スパンで計算しました。縦軸単位は角度の「度」です。

地心の計算値に対して、測心計算では1日1回程度小さく波打っていることが分かりますね。また日本国内の観察位置の差はほとんど気にならない程度だということも分かるでしょう。細かなお話しですが、書き添えておきます。(参考:暦Wiki「月のひょう動」/国立天文台


参考:
真夜中の月とダブル・フンボルト(2015/12/27)
木星の側に丸い月、ダブル・フンボルトも見えたよ(2016/02/24)


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