火星の地図を作ってみました
2016-06-07


禺画像] 地球接近前後の5月23日から6月5日にかけて撮影した火星画像を使い、惑星面の展開図を作る真似事をしてみました。撮った火星は球形ですが、明暗を伴う地形模様が写っています。うまく隣同士の模様をつなげば、「火星の地図」ができ上がるはずです。いままで連続して火星を撮影したことがなく、いつかやりたいと思っていたことのひとつでした。

もともと16cm反射望遠鏡+関東の空+惑星撮影に不慣れな技量という条件だから、たいした画質で撮影できるわけではありません。できあがりの質はひどいものと覚悟はしてましたが、でもそんなことより「遠い星の地図を自分で撮影して作り上げる」ワクワク感の方が何倍も勝ります。

球面→平面への展開プログラムから設計しようとも思いましたが小難しいので、今回はステライメージ+Photoshopの機能を使って展開合成しました。できあがりが左上画像です。上列に4日分の使用画像を対応して提示しましたが、実際は7日分の画像を組み込みました。撮影当日の気象条件、撮影条件、画像処理条件がバラバラですので、色合いや画質が不連続なのはご容赦いただきたいですが、おおむね地形図のようなものができていると思われます。(※極地方は歪みが大きすぎるためトリミングしました。)

禺画像]
NASAのMARS TREKにある火星地図を引用し検証しました。仕上がった地図の範囲は右図の緑線矩形内です。地形の濃淡は概ね合っているようですね。でもまだ全体の撮影を終えないまま梅雨になってしまいました。撮り残したのは火星最大(太陽系最大?)の火山「オリンポス山」周囲のエリア。楽しみは二年後、2018年の大接近までとっておくとしましょうか。

自分の頭を整理するため、撮影エリア内の火星地形を簡単にメモしておきました(下図)。火星には月面と同じようにクレーターがありますが、他にも山(Mons)、山脈(Montes)、峡谷(Valles)、谷(Chasma)、大陸(Terra)、平原(Planitia)、高原(Planum)、丘(Colles)、卓状台地(Mensae)、迷路(Labyrinthus)、地溝帯(Fossae)、砂丘(Undae)、カオス(Chaos)、湖(Lacus)といった地形が細かく命名されています。また地形以外に気象現象も見られ、各地を覆う白い雲や砂嵐なども地球から確認できます。なお、「湖」とか日本で「湾」や「海」と呼ばれる地名のところに実物の湖や海があるわけではありません。月面の「海」と同じ感覚で名が付けられたのだと思います。

調べていくと、日本での呼び方が違っていたり、曖昧なものが結構ありました。「ここからここまでを○○と呼ぶ」と正確に定めた資料も見つかりませんでした。(NASAの中でも資料によって違う呼び方だったりします。)下地図の日本名は「たびたび耳にする呼び方」として書いておきました。25cmから30cmくらいの大きな望遠鏡としっかりした撮影技術、安定した空があれば、かなり緻密な火星地図が作れそうな気がします。今ならもちろんアマチュアで十分可能でしょう。昔から火星にどっぷり魅了された天文学者たちの初心に触れた気がしました。

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参考:
標高データで火星図を描いてみました(2017/05/26)
2016年火星の地球接近・アンタレス接近に関する記事(ブログ内)
[惑星・準惑星]

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