夕空で尾を伸ばすLemmon彗星
2025-10-24


禺画像] ずっと曇り続きだった日本列島ですが、昨宵は一時的に晴れたところが多かったようです。いつも画像を送ってくださる秋田の星友NKさんから、昨宵に鳥海山でとらえたLemmon彗星(C/2025 A6)の原画が届いたので画像処理してみました。

左は200mm+APS-C画角のもの。始終雲に邪魔されたそうで、頂いた原画のうち半分は使えませんでした。左画像の輝星に光環が見えることから分かるように、スタック画像のほぼ全てに薄雲がかかっています。

尾のあぶり出しをメインに考えた処理のため雲による背景ムラが強く出てしまいましたが、画像端まではっきり届くイオンテイルが見事ですね。ダストテイルは大きく湾曲しながらも、これまた画像端に届いてる気がします。近地点通過二日後のベストタイミングで晴れたのは幸運でした。核の西側(画像右側)のコマ部分がダストテイルに沿って伸びているのが印象的。非対象のコマってなかなか見ないですね。

人工衛星はわざと残しました。ざっと数えたところ20分あまりのこの露出で100本以上の人工衛星が写っていました。そういう時代になったと言うことを肝に銘じなくてはなりません。「σクリップで消せるでしょ」と気楽に済ますことではないように思います。年々世界の気温が上がり、日本も熱帯化・多湿化してるそうですが、「涼しいところで過ごせばいいじゃん」で済ませられないのと同じですね。

よく見るとスターリンクのDTC(Direct to Cell)タイプと思われる青い人工衛星(2024年11月5日記事参照)が多数写っています。この色は彗星のコマやイオンテイルと似た系統の色で、CBPフィルターなどもたやすく通り抜けます。無尽蔵に増えるなんて困ったものだ…。頭に来たから中川光学研究室ブログでやったように全部特定してみようかと思いましたが、ぐっと堪えました。

下A画像は35mm+APS-C画角とのこと。わざわざ望遠レンズや望遠鏡を使わなくてもこんなに写るんですね。原画ではδBooの右を通り越して、μBooのすぐ下まで尾が届いてました。おおよそ13.5°といったところでしょうか。彗星に並ぶεBooは望遠鏡で見ると色の対比が美しい接近二重星で、別名プルケリマ。μBooもポピュラーな二重星です。画像左上にはかんむり座T星も10等くらいで写っています。

鳥海山は22日に今期初冠雪のニュースが飛び交いました。下B画像は彗星撮影前にNKさんが撮影した鳥海山。山麓に織り込まれた紅葉が素敵ですねぇ…。尾根に沿って平行な筋(階段状の積雪)が何本も見えるのは、エベレストの岩肌に見えてる地層のようなものかな?あぅ〓無性に地層を調べたい…。ともあれ、今夜あたりから夜間通行止めになるとのことで、間一髪の彗星撮影でした。



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