禺画像] 7月7日に
「今年の地球最速日はいつになるかな?」と題した記事を書きました。どうやら決まったようです。
地球の自転は日々様々な要因で24時間からずれます。そのひとつがブレーキの役割を担う月の引力。月は地球赤道面に対して28°あまり傾いた楕円軌道を公転します。1周する一ヶ月弱の間に地球赤道面から北または南に最も外れたとき、また地球から最も遠いとき(遠地点通過)、ブレーキが弱まって地球が速く回る(一日が24時間より短くなる)ことになります。
これに加え同様の効果を持つ太陽引力の年変動もあるため、1年間で考えると6-8月のどこか(地球が太陽から離れる時期)、月赤緯が南北に最も離れるタイミングで「地球最速日=LOD最小日」を迎えるのです。(※LODとはLength of Day:1日の実測長の略。24時間との差という意味で使われることも多い。)
天文やカレンダーに関するサイト
Timeanddate.comに今年掲載された「地球最速の日」の記事には7月9日(または10日)、7月22日、8月5日(または6日)の3種の「最速日」候補が掲載されました。それぞれに対応する月の赤緯極値は以下の通り。
- 2025-07-09 06:29:47 UTC、7月の最小赤緯:-28.4225°
 
- 2025-07-22 10:03:07 UTC、7月の最大赤緯:28.4709°
 
- 2025-08-05 14:05:43 UTC、8月の最小赤緯:-28.5303°
 
実際に自転を測定・管理するのは国際地球回転・基準系事業(IERS/INTERNATIONAL EARTH ROTATION AND REFERENCE SYSTEMS SERVICE)です。IERSは毎日LODを公開していますが、約一ヶ月前のぶんまでなので、上記の予報のどれになるかは9月二週目頃まで待つ必要がありました。
記事冒頭のグラフは9月13日夜半に発表された6月10日以8月13日までのLODをプロットしたもの。オレンジ丸印が予報された日です。どうやら
7月9日UTが最速日だったようですね。このデータは数年間の較正を経て修正されることもあるけれど微量なので、順位が入れ替わることは無いでしょう。
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話は変わりますが、こうしたLODのずれが閏秒につながるため、自転の速い遅いがごく稀に一般ニュースにも取り上げられます。ところが何としたことか、今年はこの地球最速のニュースをとてもたくさん見つけました。これと言って派手な内容ではないし、世間の関心も少ないでしょう。毎年この手のニュースが幾つあったか保存して調べていますが、過去2022年に地球自転が史上最速になった時にニュース数が少し増えただけでした。今年は当時の3、4倍くらいありました。内容を辿ると同じ提供会社に行き着くこともあるので全部のニュースが独立してる訳ではないにしても、多すぎました。一ヶ月くらい過ぎてから再報道、というのも最近のパターンです。
ちなみに過去一番自転が速かったのは去年2024年7月5日(右上図参照)なのですが、この報道は皆無。今年は更新してないどころか、2020年以降では二番目に遅い「地球最速」です。特筆すべきことがないのに多くの報道が飛び交った理由が分かりません。
聞くところによると最近のニュース配信はネタをAIに取捨選択・プライオリティー付与を行わせるところも多いようです。分野を広げようとすると人手が足りなくなるのでしょうか。「あの会社が取り上げたら、ウチも負けずに取り上げる」という競争をAIに組み入れてるのかな?人件費を減らしつつ広告収入を最大値にするといった目標のためにAIを動かしているのかな?