禺画像] 気温や湿度が高くなり、普段は涼しい斜陽すら辛く感じる季節になりました。冬ならとうに真っ暗になる時間でも、今は部屋の奥まで日が差して、気温上昇に拍車をかけます。
日本列島はようやく日没の折り返し点を過ぎ、日没最遅日が少しずつ南下しています。本日29日は本州南側や四国、九州北部で一年の最も遅い日没を迎えます。右下地図でお確かめください。(毎年微妙に位置が変わります。)
宵が蒸し暑い今の時期はホタルが盛んに飛び回りますが、飛び回るのはホタルだけではありません。街灯に集まる虫も多くなってきました。そんな虫を餌にするのが美しい網状の巣を作るクモの仲間。夕方になるとせっせと網を張るクモの姿を楽しむことができます。基本的に益虫なのに、気持ち悪いというだけで不快害虫にされてしまうのが悲しいところ。同じ種類なのに編み掛けが上手なクモ、下手なクモなど個性あふれているんですよ。(私は小学生のころからクモが巣を作るのを最初から最後まで見ていても全く飽きませんでした。変な子?)
日没が遅い今の時期はクモの巣の観察にも向いています。街灯が近くにある場合は街灯に面するように張るようですが、森の中のようなところではバラバラなことも多いです。一度調べてみたことがありますが、斜陽が差し込む向きとは関係ないようです。
斜陽の中でクモの巣を見かけたら、正面からではなく、ぜひ斜めから逆光で観察してみてください。なんと、クモの巣が虹色に光るのです。糸を構成する物質で屈折するせいでしょうか、本来の色ではない発色をします。彩雲だとか合わせレンズのニュートンリングだって、それを発する物質の色が見えるのではなく、屈折や回折と言う別の理由で色付きます。クモの巣を見込む角度によって色が変わるのが何よりの証拠。
写真に撮る場合は敢えて甘ピンにしたり、開放にして被写界深度を浅くすることをお勧めします。恒星を撮るのと同じで、ぼかすことで色あいが写りやすくなるのです。都会ではクモの巣を見つけることすら難しいかも知れませんが、斜陽が長い時期ならではの観察ネタでした。なお似たような性質で虹色に見えるものに、トンボやセミの透明な羽根、ススキやオギなどのふわふわした毛、野鳥が落としていった羽根、桜などのテカテカした樹肌などがあります。順光でも見えることがありますが、とても小さい虹光の粒なので、腰を据えてじっくりご覧あれ。
参考:
日出没・暦関連の記事(ブログ内)