禺画像] 昨夕は春霞で低空がくすんでいたけれど、かなり低くなった金星と水星を探しました。狙いは「水星のナトリウムの尾」を捕らえることです。
一週間前にもトライしましたが、このときは尾が見易い条件に達してなかったため、確認できませんでした。
日没後すぐ金星を頼りに水星を探すと、貧相な姿が見えてきました。周囲が暗くなるのをゆっくり待てるほど高度はありませんが、尾は薄暮中になかなか見えないため、バランスが大事。頃合いを見て30秒×30コマほど撮影。このときPCモニターでは水星本体以外全く見えませんでした。
部屋に戻ってゴリゴリに画像処理すると、驚くほどの見事な尾が!左画像では約25分角の尾が写っており、周囲の恒星も10等近くまで確認できます。空が縞模様になっているのは電線の隙間から撮っているためです。撮影開始時の水星高度は7°、濃い春霞、標高わずか数十メートルの関東平野からの撮影…と言った悪条件オンパレードを加味するなら、とても明るい尾だったのではないかと想像できます。1000m級の山で見たらNaナローバンドフィルター無しで数度の尾が写ったかも知れませんね。
右図は撮影時におけるナトリウムの尾のシミュレーション(計算は自作プログラム/表示はステラナビゲーター)。尾の長さを0.03AUと仮定しています。白い四角は撮影範囲です。長さこそ足りませんが、尾の向きは完全に一致していますね。
今回はタイミングがとても良かったと思います。撮影時で計算すると、TAA(真近点角/True Anomaly Angle)は58.735°。尾が最も明るいとされる65°付近に極めて近かったのです。東方最大離角が3月8日だったのでまだ一週間しか経っていないことも幸いでした。叶わぬ夢だけれど、いつか高い山の透き通るような空でこの尾を見てみたい…。
禺画像] 東を見ると満月が昇ってました。黄砂のような空のくすみ具合で、一面が真黄色です。日本では半影食でしたが、天リフさんによるチリリモートの皆既月食ライブを見なから観測気分に浸ります。
日付が変わる1時間あまり前に満月を撮影(左画像)。月の周りにはスギ花粉による光環が見えました。満月瞬時は過ぎているため、右リムが僅かに欠け始まっていますよ。
フンボルト・クレーターチェーンが見えそうでしたが、期待したほどシーイングは良くありませんでした。
先日着陸成功したブルーゴーストからは「地球による日食」が見えたとのこと(記事末追記参照)。行く行くは地上と月面とで「日食月食同時中継」も夢ではなくなるでしょう。長生きしなくちゃね。
【追記:BLUE GHOSTから見た地球による日食】
各種ニュースやtweetでも流れてますが、BLUE GHOSTから見た地球による日食をGIF動画として掲載しておきます(
ソースおよびクレジット:Firefly Aerospace)。搭載カメラが広角なので、日食の詳細までは分かりません。ベイリービーズのように見えるのは何でしょうか?地球は大気層があるので、月による日食のようなベイリービーズはできないはず。そもそも月から見た地球視直径は太陽視直径の3.4倍ほどもありますからね。雲の頭頂部などが光っているのかも知れません。