宇宙を飛ぶ青い鳥は幸せを呼ぶか?
2024-09-14


禺画像] AST SpaceMobile社がBlue Walker 3(以下BW3)を打ち上げたのはちょうど2年前、2022年9月でした。世界各地で「明るい人工衛星がまた増えた」と噂になり、あちこちでその光跡が観測されています。

BW3は実験機(プロトタイプ)であり、右下画像((C)AST SpaceMobile社)の様に板状のフェーズドアレイアンテナを敷き詰めた平面アーキテクチャが特徴です。大きさは8メートル四方(約64m2)、間取りなら40畳、土地なら20坪。こんな形状なので、地上からアマチュアの望遠鏡でもなんとか形が捉えられるそうです。

今宵たまたま私宅上空でほぼ天頂通過だったので、カメラを用意してまっていました。ところが日没と共に雲が増えてしまい万事休す。それでも定刻にシャッターを切り続けていたらたまたま雲間から数コマとらえることができました(左画像)。

形状は先日観たNASAの宇宙ヨットACS3(約9メートル四方)に似てますが、BW3はアンテナ面を地上に向けっぱなしですから明滅は無く、安定した光り方です。左上画像は上方向が北で、画像中心のアルビレオ(βCyg)の少し北側で最高高度=最高光度でした。雲が邪魔で見えなかったけれど、見えた範囲ではデネブより暗くアルビレオよりずっと明るかったです。Heavens-Aboveの予報光度1.7等と言うのはほぼ合ってると思いました。今日を含めて三日間の高高度パスが続くので、明日・明後日も見てみようと思います。

禺画像]
ところでAST SpaceMobile社はつい三日前の9月12日にBW3そっくりな実用機「Blue Bird」を5基まとめて打ち上げました。同じBlueの名で「あれっ?」と思ったら、こちらは実用機だったんですね。いよいよダイレクトモバイル通信事業に乗り出すようです。「Blue Bird A」から「Blue Bird E」まで、衛星番号はそれぞれ61045から61049まで連番、14日時点でCelestrak.orgなどから軌道要素が入手可能、つまりプラネソフト等で追いかけられます。明日朝には幅30°+α程度で並んで飛行する低空パスがあります。空の条件が整ったところでは1等台の明るい『Blue Bird Train』が見えるかも知れません。将来的に数千基レベルの打ち上げが予定されているようで、あちこちに一等級の衛星が飛び交う時代になると考えると憂鬱です。

なおスターリンクもモバイル通信用の衛星が半年以上前から打ち上げ始まっており、DTCタイプ(Direct To Cellphone)と呼ばれています。Heavens-Above予報サイトなどでは衛星名にDTCが付与されているので区別がつきます。近年のスターリンクトレインは青っぽく見えますが、あれもDTCの特徴らしい。通信特性上、モバイル用衛星はあまり高く上げないことが予想され、Blue BirdシリーズもスターリンクDTCも500km未満(大抵は300-400km程度)で運用されるようです。つまり、地上から見ると「より明るい」ということですね。はぁ…。

禺画像] (追記)参考までに14日現在のスターリンク遠地点高度(地面からの高さ)分布を図化したので左に掲載しておきます。DTCタイプは低めの軌道に設定してあることが一目瞭然ですね。近地点高度との差は最小0.030km、最大41.181km、平均2.227kmで、全機がほぼ円軌道と見なせるため省略。

左図を見る限り、何十もの衛星を一度に予定高度に打ち上げても、軌道を離脱して高度を下げてしまう衛星が新旧問わず一定の割合で存在することも分かります。

[人工天体]

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