プラトーに射す一筋の光
2023-11-22


もう一つの目標「月面都市」は17:40にRay撮影を始める前に撮影(下A画像)。筋状に並ぶ山脈などをようやく捉えることができました。拡大してしまうとただの月面地形ですが、おそらく小さな望遠鏡で強拡大すると細部がぼけて、都市景観らしくなるのでしょうね。個人的には一緒に写っているトリスネッカー谷のほうが道路網に見えます。画像上辺のアペニン山脈内にはアンペール山の二つ星付近が写っており、二つ星ではなくこと座ε星のような「ダブル・ダブル」になっていて笑ってしまいました。

Ray撮影後は直線壁あたりも撮ってみましたが、シーイング最悪に戻ってしまい、写りは良くありません(下B画像)。直線壁と平行するバート谷の北端には谷を挟むように大きなドームがあります。これくらいの月齢だと出張っているのがよく分かりますね。デランドルの少し下にあるレクセルBに縦線が入っています。スタックエラーかと勘違いするほどはっきりした黒線ですが、ここには地震でできる断層みたいな段差があって、その影が見えているのです。この線は下弦側で見ると白っぽく変化します(下C画像)。だから谷や溝ではなく断差だと分かるのです。画像下辺・明暗境界の真っ暗なクレーターはティコ。もう一週間もしないうちに光条を湛えて明るく輝くでしょう。

途中雲の邪魔が入って経過が追えなかったけれど、なんとか二つの目標を達成できてほっとしました。結果はあらためて細かく分析し、今後のRay予報精度向上に役立てたいと思います。

【メモ】
現象開始を11月21日17:50:00としたとき、プラトー基準点(IAU)における太陽高度は約0.943°。1.000°(18:00:54)では既に始まっていると考えて良い。




禺画像] 【追記】
「月世界への招待」サイトの東田さんが詳細な観察をされています(撮影日記2023/11/21を参照)。さすがベテランだけあってしっかり撮影されて感動しました。東田さんの報告では既に17:38撮影画像でRayが写っていたとのこと。そこで、私が撮影した17:40画像を再処理してみると、確かに淡いRayが写っていました。

そのまま掲載しても全く見えないだろうと思いますから、白黒反転したものを左に載せました。記事冒頭画像と同じトリミングで、中央がプラトーです。こうすると臨場感は消え失せますが、光線の様子は確認しやすいでしょう。プラトー内には確かに黒い筋がありました。

観察中も確かに違和感があって、17:48ごろ最初に見つけたとき「いや、もうこんなに伸びてるんかい!?」と思ったのです。一気に射し込む可能性も無くはないですが、それにしてももっと前から光が見え始めていただろうと。仮に17:30JSTだとするとプラトーから見た太陽高度は約0.839°。案外Rayのスタートは0.8°あたり(今回なら17:22:36ごろ)だったかも知れませんね。ただ現象初期は誰が見ても光ってるという状態ではないため、どの時点を現象開始と表現するかは一考の余地があります。




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