禺画像] 明後日2月15日の宵に、金星と海王星が見かけ上の大接近を起こします。最接近時はもう沈んでしまうため見えませんが、その離角はなんと42.8″角!(地心計算)。分角の間違いではありませんよ、秒角です。月面で言うとコペルニクス・クレーターの見かけ直径と同程度なんです。
左はその様子をStellariumでシミュレートしたもの(※薄暮光は除いてあります)。時刻は21:30JST、場所は現象が薄暮中に見えるであろうネパールの首都カトマンズ。両惑星の模様まで同時に見えるほど近いですね。
金星は1月23日に土星と20.7′角まで接近を果たしましたが(
→2023年1月24日記事参照/当地は悪天で見えず終い)、これを皮切りに初夏まで海王星、木星、天王星、火星に次々と接近、合間には月とも毎月接近しますので、「怒濤の接近イベント」が続くことになります(下表)。海王星接近のような稀に見る超接近はもとより、写真映えする月接近、木星接近なども見物ですね。
【2023年前期・金星の天体接近イベント/5°以内/日本経緯度原点での測心計算】
天体1 |
天体2 |
最接近日時JST |
離角 |
天体1太陽離角 |
天体2太陽離角 |
金星 |
土星 |
2023-01-23 07:12:20 JST |
0.346° |
22.225° |
22.204° |
金星 |
月 |
2023-01-23 21:09:01 JST |
3.366° |
22.359° |
23.011° |
金星 |
海王星 |
2023-02-15 21:27:28 JST |
0.012° |
27.549° |
27.548° |
金星 |
月 |
2023-02-22 20:23:15 JST |
1.977° |
29.087° |
29.325° |
金星 |
木星 |
2023-03-02 14:03:44 JST |
0.489° |
30.782° |
30.817° |
金星 |
月 |
2023-03-24 21:14:16 JST |
0.350° |
35.502° |
35.487° |
金星 |
天王星 |
2023-03-31 06:07:20 JST |
1.218° |
36.790° |
36.843° |
金星 |
月 |
2023-04-23 23:10:49 JST |
0.716° |
41.172° |
41.259° |
金星 |
月 |
2023-05-23 23:08:16 JST |
1.490° |
44.947° |
45.152° |
金星 |
月 |
2023-06-22 09:27:00 JST |
3.346° |
44.019° |
43.791° |
金星 |
火星 |
2023-07-01 09:48:26 JST |
3.563° |
41.828° |
45.321° |
金星は宵の明星や明けの明星として空の一定領域に長く留まる惑星ですから、立て続けの接近イベントは金星固有の特徴と言えるかも知れません。記事末に1900年から2100年まで201年間に起こる「月+7惑星の相互接近」を全て数えた組み合わせ表を掲載しました。これを見ると、早い周期で空を移動する月に次いで金星の多さが見て取れます。興味が湧いた方は会合周期を深く調べてみてください。
金星と「月+6惑星」の接近回数はどんな変化をするのでしょうか?右グラフは2000年から2030年までの31年間を調べて積み上げ棒グラフにしたもの。青色は別惑星との接近回数、黄色は月との接近回数、赤矢印が今期です。1年を三ヶ月ごと4ブロックに分けて集計しました。現実的に観察可能な回数にするため測心計算とし、天体離角5°以内、太陽離角15°以上の制限を付けています。内合と外合の期間は太陽に近すぎ、例え惑星同士が接近しても観察できません。特に外合は数ヶ月に及ぶため、グラフの所々が空白になっています。いっぽうで今年の1-3月のように回数がぐんと多くなることも時々あるようです。