きれいな三角形を作ったガリレオ衛星たち
2022-10-01


禺画像] 木星の四大衛星は時に面白い現象を引き起こします。衛星の掩蔽や食なども楽しいけれど、何でもない日に四つとも片側に寄っていたり、たまたま木星に近い順に並んでいたり。そういった見かけ上のささやかな“現象”も興味深いものです。

実は昨夜も面白い光景を見ることができました。イオ・エウロパ・カリストの三つが木星の東側で実に見事な正三角形を作ったのです。私は普段から衛星の計算などをしていたため、この現象を楽しみにしていたのですが、Kochabの星見日記のKochabさんはシミュレートで見つけ出して紹介されておりました。プラネタリウムソフトを見続けていると頭痛がしてくる私からすれば、当日まで誰も気付かないような現象を見つけ出すKochabさんは特殊能力の持ち主かと思いました。以前当ブログの2020年5月25日記事で、惑星や月、あるいは名の知られたアステリズムが作る三角形の「正三角らしさ」を紹介したことがありましたが、今回のガリレオ衛星はかなり期待できるものでした。

19時ごろ隣家の屋根から登ったばかりの木星を見ると、既に衛星が偏っています。自作プログラムによる計算では、もっとも正三角らしくなるのは9月30日21時ごろ。そこで、21時ちょうどを中心時刻として前後幅を付け足して撮影、Derotation合成したのが左上画像というわけです。小さな望遠鏡での観察ながら衛星の大きさや明るさの違いも分かりますね。

調べてみると今回ほど「正三角らしく」なったのは久しぶりで、2020年5月29日1:32ごろにエウロパ・ガニメデ・カリストが少し縦長の三角を作って以来のこと。(※下表の通り2022年8月28日1:16にも起きましたが、このときイオは木星の影に隠れて見えなかったため、幻の正三角形です。)三つのガリレオ衛星が小さな三角を作るチャンスは「相互食」の年(2008年、2014年、2021年…などおよそ6年おき)を中心に増えるのですが、必ずしも見やすいとは限りませんからね。

1998年以降今年までに起こった「ほぼ正三角」のベスト3は下ABC図のケース(Stellariumによるシミュレーション)。なかでもずば抜けてトップは2016年のもので、イオ・エウロパ間19.577″、イオ・カリスト間19.460″、エウロパ・カリスト間19.663″(日本経緯度原点での測心計算)という凄さ!

せっかくなので2020年から2050年までに起こる「それなりにまとまった小さな三角形を作るチャンス」を計算しましたので記事下に掲載します。(※2022-10-09注:より多くの観察機会を得るため判定条件等を見直し、表内容を更新しました。)正三角らしさや離角の大小にこだわらなければ毎日のように起こってしまうため、独自基準で取捨選択してます。例えば今月10月20日2時過ぎ頃にイオ・エウロパ・ガニメデが三角形を作りますが、エウロパは木星に重なっており、ガニメデは木星から脱したばかり、またイオもすぐ木星に掩蔽されますから、それなりに整った三角であっても実感が湧かないでしょう。11月18日宵にも見えますが、少しいびつで辺が長めの三角です。今回は申し分なく★マーク付きと言うことで、スペシャルなガリレオ衛星を楽しめました。次回はいつかな!?


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