21世紀最大視直径の木星、黄雲が発生した火星
2022-09-26


禺画像] 昨夜から今朝にかけて穏やかな新月夜が訪れました。長い長い悪天の中で突然晴れ間がやって来ると、いろいろやりたいことがあふれ出してまとまりません。ひとまず明日9月27日に衝を迎える木星を見ることにしました。衝当日に晴れるとも限りませんからね。

日付が26日になったころを見計らって望遠鏡を向けると、大赤斑が見えない面でした(左画像)。ちょうど南中のタイミングですからかなりの高さで、観察にはいちばんいいですね。

今回の木星の衝は下のメモの通り。※一般に惑星の天象は黄道座標を用いますから、本来の「衝」は黄経の衝を指します。でもいまだに多くの天文書籍で赤経の衝の時刻が書いてあります。間違えないようにしましょう。地球最接近は26日昼前なので、左上画像は最接近画像と言ってもいいですね。衝のころ地球とも接近しますが、火星ほどダイナミックに大きさが変化しないせいか話題にならないですね。でも今回の地球接近は特別ですよ。

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2018年5月9日記事に2000年から木星公転3周分の地球接近の図が載っていますが、木星の近日点は黄経14.7°あたりですから、春分点方向から左回りに約15°進んだあたりで「木星と太陽が最も近い」ということです。この時期付近で地球と接近すれば「地球ともかなり近い」ことになりますね。(実際は地球と太陽の遠近も少し関係します。)

範囲を拡張して1600年から2300年の701年間で計算してみました(右上図)。驚いたことに、20世紀以降で今回より近かったのは1939年、1951年、1963年の3回のみ。将来は2129年10月06日までやって来ません。だから現在生きているほとんどの人にとって、今日未明や今夜の木星は人生で一番大きく見えるのです。晴れたら絶対見てくださいね。

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木星の次は火星観察。この火星も地球接近が迫りつつありますが、困ったことが起きました。実は黄雲(砂嵐)が発生し、かなり広がっているのです(右画像)。ちょうどマリネリス渓谷や太陽湖が真ん中から左寄りに見える位置なのですが全く分かりません。代わりに黄土色のモヤモヤ、ウネウネした土煙のようなものが特に赤道から南半球を覆っています。(参考:2020年11月に発生した火星の黄雲。)

黄雲は先週23日ごろ発生したそうですが、実は私が9月22日に観察したとき、欠け際やや北寄りがかなり明るく見えていたことを確認しています。今思うとこれが黄雲の始まりだったのではないでしょうか。

黄雲が覆っている位置は日々変化しているようで、すぐ収まることは無いため、しばらく地形やアルベド模様を見ることができなくなる可能性が高いです。12月の接近のころどうなっているか、かなり心配です。

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