センタームーンを観よう・補足
2021-05-13


禺画像] 5月5・6日に掲載した「センタームーンを観よう」の記事に関して、いくつかのご意見やご質問をいただきました。そのなかから二点をピックアップして補足説明いたします。観察の参考になれば幸いです。


★国内での測心秤動の差は?
本編では当ブログの基点として使っている茨城県つくば市(市役所位置)での測心秤動図を掲載しました。「国内では概ね同様の傾向」とは言っても、日本は直径3000km円からはみ出るほど大きいため、それなりに差が出ます。では、どれくらいの差なのでしょうか。

具体例を挙げたほうが分かりやすいので、本編に掲載した秤動図のうち、今月5月の中心付近プラスマイナス4°を拡大してみました(左図)。この中に、つくば市以外の比較として札幌(北海道庁)、福岡(福岡県庁)、那覇(沖縄県庁)の三地域も一緒に描き込みました。新月と満月のマーク、近地点通過時(×印)、遠地点通過時(+印)が確認できます。いちばん秤動がずれているあたりを測ると、札幌−那覇間で0.4°未満。緯度秤動と経度秤動に分解すればもっと小さいです。同じ日時の観察に限って言えば、これを超えることは滅多に無いでしょう。

こうして拡大すると分かりやすいのですが、遠地点通過のころより近地点通過のころのほうが「バネの様な測心秤動の伸び幅」も「地域間のまとまり具合」も離れています。月が近く、動きも大きいため、観察位置差による月面の向きの差が目立って大きくなるわけですね。


★秤動がいちばん大きいときは?
禺画像]
タイトルがセンタームーンですから「秤動がゼロに近いタイミング」に拘って探ってきましたが、逆に「秤動が最大になるときはいつなのか?」が気になる方も多いでしょう。むしろ「裏側を見たいから」という理由で、こちらのほうが需要があるかも知れません。

期間や範囲などを区切ったとき、注目する観測値が取りうる最大値または最小値は「極値」と呼ばれます。秤動の場合、ひとことで極値と言っても様々な解釈があるでしょう。ここでは以下の6種類について計算しました。


禺画像] 経度秤動の極値は地心または測心の秤動図で「最も右側/左側の点」ということ。緯度秤動なら「最も上側/下側」ですね。また、ある日時の秤動位置を緯度経度ではなく「真の月面中心からの離角(=秤動量)」と「月面北極方向からの方向角」で表したとき、秤動量が最大になるポイントが見つかるでしょう(右上図/2021年5月の例)。もちろん経度秤動や緯度秤動の極値とは異なる日時になります。

この秤動量最大点も地心と測心とで異なり、同じ様な位置になることもあれば右上図のように全く違う方向角の場合もあります。更には、集計期間によっても変化するし、「毎年5月は似た傾向…」なんてこともありません。とにかく変幻自在なんです。


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