〇〇年ぶりの木星と土星の超接近まで二週間
2020-12-08


禺画像] 12月21日・22日の木星と土星の超接近まで残り二週間ほどとなりました。左は昨日7日の撮影ですが、両星はすでに1.5°角あまりまで近づいており、フルサイズカメラなら800mmでも一緒に写せる距離です。接近会合は当日だけではなく日々の変化が楽しいところ。「まだ早い」などと言わず、ぜひ今夜からでも追いかけてください。

この接近はあちこちの一般サイトや新聞などでもニュースとなっているようですが、20ソースほど読み比べてみると表現の違いが興味深いです。特に「この接近がいかに珍しいか」を示す根拠となる「〇〇年ぶり」という表現。今回は大きく分けて「400年(397年)ぶり」「800年(794年)ぶり」「20年ぶり」の三種類あるようです。それぞれ根拠はあるのでしょうが、この統一の無さには笑っちゃいました。他にも「過去○回しか起こっていない」とか「〇〇時代に遡る」「次回見るにはあと〇〇年生きなくちゃ…」というような文言もありました。

天文をかじった方はご存じの方も多いと思いますが、地球から見た木星と土星の会合はおおよそ20年周期。そのうち三回に一回はかなり近くなります。ですが、ケースバイケースですから具体的な離角が数値で示されないと「〇〇年ぶり」と言った根拠がゆらぎますね。

そこで、具体的に計算プログラムを組んでみることにしました。今回ほど近くならない接近は排除し、西暦0年から3000年までの間に0.5°角(おおよそ月の視直径)以下になる場合のみ、下表に示します。この中でも更に特別なのが、今回のような0.1°角前後となるケースです。みなさんがニュース記者や天文施設広報担当の立場に立った時、どの様に告知したら多くの方々の興味を集められるか考えてみましょう。

今回はかなり低い位置(太陽に近い位置)で起こるため、観察条件は厳しいでしょう。1683年2月のようにほぼ衝の位置で起こったこともあるのですねぇ。見てみたかった…。おっと、江戸時代なのか!大きな火災があった年でした。

【木星と土星の見かけが0.5°角以下となる会合・A.D.0年-3000年調べ】
最小離角日時
(TT)
木星・土星間
(arcmin)
木星・太陽間
(arcdeg)
土星・太陽間
(arcdeg)
1度角開始日時
(TT)
1度角終了日時
(TT)
0034-10-03 08:32:23 TT 26.68 53.26 53.27 0034-09-22 00:40:44 TT 0034-10-15 12:14:30 TT
0035-03-31 19:18:48 TT 26.59 122.75 122.57 0035-02-28 04:00:14 TT 0035-05-06 06:29:28 TT
0253-02-13 15:08:26 TT 20.62 47.2 47.2 0253-02-04 13:27:44 TT 0253-02-23 01:10:12 TT
0312-12-14 17:19:03 TT 13.35 20.09 20.08 0312-12-06 06:04:56 TT 0312-12-23 02:09:09 TT
0372-03-07 14:54:50 TT 1.86 53.01 53.01 0372-02-26 17:26:48 TT 0372-03-18 00:32:21 TT
0432-01-01 18:28:28 TT 6.26 17.4 17.4 0431-12-24 05:57:11 TT 0432-01-10 05:10:52 TT
0491-03-24 09:24:08 TT 16.36 54.1 54.1 0491-03-14 20:23:24 TT 0491-04-03 10:06:58 TT
0551-01-16 05:06:36 TT 24.75 17.93 17.96 0551-01-08 09:48:28 TT 0551-01-23 22:52:20 TT
0590-08-01 20:51:58 TT 29.67 35.94 35.93 0590-07-23 01:17:33 TT 0590-08-11 23:00:30 TT
0650-06-13 21:23:26 TT 19.23 18.8 18.79 0650-06-03 08:44:33 TT 0650-06-24 07:39:50 TT
0709-09-17 20:13:13 TT 8.37 60.96 60.96

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