気象衛星ひまわりの天体スリーショット撮影は可能かな?
2020-09-09


禺画像] 火星の地球接近まで残り一ヶ月を切りました。左は今日明け方前(9月9日3時過ぎ)の撮影。晴れればなるべく観察するようにしてますが、今朝は昨日の風がまだ残っていて望遠鏡が揺れまくり。高倍率での撮影に難儀しました。

左側から中央にかけてマリネリス峡谷、オーロラ湾、右の欠け際が子午線湾付近。南側にはかなり縮小変形してしまった南極冠、北側も白い靄が出ています。火星高度が高いため、2年前の大接近時よりずっと見やすく、地形が詳細に分かって楽しい。

右下は火星に続けて撮影した月面。太陽黄経差252.05°なので、下弦ちょっと前ですね。透明度・シーイングともそこそこ良かったから、風さえ吹かなければもう少し良像になったことでしょう。

禺画像]
ところで、遡ること3日前の9月6日、月が火星と重なってしまう「火星食」が起こったことをご存知でしょうか?ある天体が別天体を隠す現象を「掩蔽」と言いますので、正しくは「月による火星の掩蔽」ですね。(「食」とは天体Aの影に天体Bが入って見えなくなってしまうこと。掩蔽とは全く異なります。)残念ながら9月6日の火星掩蔽は日本の裏側でしか観察できませんでしたが、Spaceweather.comなどに素晴らしい写真が掲載されているので、ぜひご覧ください。

実は数ヶ月前にこの現象を詳しく調べていて面白いことに気づきました。それは、月と火星が接近する時間帯に「気象衛星ひまわりから両天体が同時に見える可能性が高い」こと。現象がちょうど日本と反対側で起こることや、赤道付近で見やすいといった条件にピンときたのです。運が良ければ一枚の衛星画像に地球を含む3天体が写り込むかも知れないと直感しました。今まで衛星画像でツーショットはたくさんあったけれどスリーショットは見つかりません。もし実現したら悲願達成です!(大げさな…。)

予想されるひまわり撮影時刻は14:00(地球の左上付近に写る可能性)と14:50(同右上付近に写る可能性)の2回。果たして結果は…!?下A・B画像をご覧ください。天体が写り込んでいた範囲を拡大強調したものです(元画像:NICT)。14:00には火星のみが、14:50には月の一部(大気や海の照り返し含む)のみが写っていましたが、3天体同時は叶いませんでした。写らなかった原因として、ひまわり画像に映り込む宇宙部分があまりにも狭いことや、短冊状にスキャン撮像するため、上下の帯で時間のズレが生じるなど、様々な要因が重なっていたのですね。むしろ偶然写っていたときの「レア度」が引き立つ結果となりました。



「今回のようなチャンスは今まで無かったのだろうか?」「これから起きる可能性は?」といった疑問が湧いたため、ひとまず地球のどこかで見ることが可能な「月による5大惑星の掩蔽」を計算してみました(下表)。ただし気象衛星ひまわり8号が稼働した2015年以降、2025年までです。必ずしも「地心から見て掩蔽になる」わけではないため、最接近日時の月惑星離角が月半径より大きい場合があることにご注意ください。このリストに対して次の4条件で絞り込んでみました。(※これでも結構緩い制限です。)


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