ようやく見つけた火星
2020-08-24


禺画像] 約二ヶ月ほどずっと探し続けていた火星をようやくとらえました。え?夜中に空を見上げれば光ってるだろうって?そうじゃないんです。「気象衛星ひまわりの画像に写った火星」を探していたんです。

左は本日14:40撮影の全球画像(画像元:NICT)。地球左上リムに描いてある緑線の矩形を大きくしたのが右下画像。オレンジ色の星が写っていますね。ノイズではなく、火星なんです。

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、日本の「ひまわり」は世界の静止気象衛星のなかでも珍しく、「大気圏の少し外」まで画像化しています。このため、地球の縁近辺に明るい天体があれば地球と一緒に映ることがあるのです(→アーカイブ「人工衛星が観た地球」参照)。当ブログでもこれまでに月を始め、金星や木星のような明るい惑星から、ベテルギウスやプロキオンといった恒星に至るまで見つけ出し、ご紹介してきました。

禺画像]
天体が明るければ必ず写るかと言うと、そうではありません。光度も含め、少なくとも次の三つの条件をクリアしなければならないのです。より詳しい解説は2016年7月19日記事をご覧ください。


この条件は惑星…特に火星にとって結構厳しいのです。安定して明るい金星や木星は位置とタイミングが合えば写りますが、火星は光度変化が大きく、また明るい時期に赤緯条件が合わないことが多い。2020年7月6日記事に「地球接近時の火星は空のどこにいるか」という星図を載せましたが、いわゆる大接近の時期は晩夏が中心で、当然ながら赤緯が低くなってしまうのでした。現在稼働中のひまわり8号が観測を始めたのは2015年7月7日。それ以降、火星が接近して明るくなる頃にひまわり写野から外れてしまう状況が続いたのです。

ようやく今期の接近でチャンスが巡ってきました。下A図のように2020年の火星は10月頭の地球最接近で明るくなる時期にちょうどひまわり写野範囲に入ることが分かるでしょう。これを去年あたりからずっと楽しみにしてたのでした。タイミングと位置を絞り込む自作プログラムを作ってあるので、一度見つけてしまうと過去にさかのぼって探しやすくなり、記事執筆時点で7シーンほど見つかりました。ただし火星が暗すぎたため、右上画像は大気圏外に限り輝度レベルを4倍に引き上げてあります。また大気圏外は各波長ごとの位置補正の対象外らしく、天体はRGB各バンドで撮影タイムラグ起因のズレが生じますから、これも補正してあります。

下B図は今日未明の火星。かなり雲の多い撮影となってしまいましたが、ひまわりから見た地球と同じ位相になっていて面白いです。このシンクロは偶然か必然か、それは何故なのか、ぜひ推理してみてくださいね。


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