新天体「マックホルツ・藤川・岩本彗星」はお早めに!
2018-11-12


禺画像] 11月7日夜から8日明け方にかけて発見された新彗星がかなり明るくなるようです。発見者には日本の彗星捜索家、香川県の藤川繁久さん、および徳島県の岩本雅之さんが名を連ねており、国際天文学連合から正式にマックホルツ・藤川・岩本彗星(C/2018V1)の名が発表されました。

まだ十分高い精度ではありませんが軌道要素が発表されていたので、ステラナビゲーターで軌道計算し、星図を作りました。地球に最も接近するのは27日頃、太陽に最も接近するのは12月3日頃、計算上光度が最大となるのは12月1日頃です。

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左上図は日の出1時間前の設定で彗星位置を示したもの。星図にあるマス目は10度ごとの方位と高度で、観察位置は当ブログ基準の茨城県つくば市です(※全国的に大きな差はありません。)明け方登ってくるおとめ座の方向に彗星がいて、既に9等台で短い尾も確認されています。彗星は日に日に低くなり、約二週間でほぼ見えなくなるでしょう。21日以降は明け方まで月が残るようになる(満月は23日)ので、明け方での観察は向こう10日間が勝負どころ。星図では星が目立つよう背景を暗くしていますが、実際の日の出1時間前はもっと明るいのでご注意ください。

ご自身も彗星捜索家・発見者である星仲間の“ほうきぼし”さんが11日明け方薄雲越しに捉えたマックホルツ・藤川・岩本彗星画像を提供してくださったので右に掲載しました。悪条件での撮影なのに尾がすばらしいです。

彗星は太陽接近後、夕空に姿を現すようになります。右下図は日の入り1時間後の設定で彗星位置を描きました。12月初旬頃は7等台前半という計算ですが、いかんせんとても低いですから、探している間に沈んでしまうと思われます。周囲に明るい星がないため、薄暮の中で彗星のような淡い天体を導入するのはかなりのスキルが必要です。

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やや離れた位置に土星がいますから、探し始めるスタート位置になるかも知れません。12月9日には土星と極細の月が大接近しますので、低空まで晴れたら良い目印になるでしょう。視野角が分かっている双眼鏡などで「土星から視野円ふたつぶん右へ…」といった方法で星を辿ってください。参考になるよう星図に5°円を描きました。一般的な7倍50mm小型双眼鏡やファインダーは7°程度の視野があります。なお月や惑星を目印にする場合、「月・惑星は日々位置を変える」ということを忘れないでくださいね。

彗星は12月中旬に急速に暗くなり、クリスマスを迎える頃はもう11等以下と考えられます。こうなると低空かつ薄暮の空で見つけるのはもう無理でしょう。つまり全体を通して考えると、11月下旬より前のできるだけ早い時期に明け方の空で楽しむのが良いと思われます。普段から小型望遠鏡で星雲や銀河などを素早く導入する技術を磨いていれば、難しいことではありません。久々の日本人新発見彗星ですから、ぜひチャレンジしてみてください。なお12月はウィルタネン周期彗星(46P)が肉眼彗星になっているかも知れません。こちらもお忘れなく!

[彗星・流星]

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