台風連鎖が記録的長時間になっている
2018-08-20


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禺画像] 二つの台風が日本へ接近中で、今週は日本の至るところで荒模様が心配されます。

左は本日20日15:00の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理・地図等は筆者)。ナチュラルカラー処理のため、水色の雲は活発に上昇した氷粒状態、白やグレイの雲は低層の水粒状態を表します。赤点円は上が19号、下が20号で、各台風中心の直径1000km円を表しています。

19号はすでに「強い台風」クラスとなっており、まもなく大東島付近が強風圏内に入ります。明日は南西諸島に接近しながら「非常に強い」クラスになる見込みです。いっぽう20号も勢力を強め、明日には「強い台風」クラスになる予報です。23日ごろ本土に接近し、近畿から九州にかけて強風域や暴風域に巻き込むようです。

7月下旬から立て続けに台風が発生していますが、この「台風連鎖」とも言うような状態を調べると記録的な長さになっているのです。気象庁が発表している1951年以降の台風ベストトラックを元に調べてみました。『気象庁・台風監視区域のなかに一度も途切れることなく台風が連鎖的に発生・存在する』状態のうち、720時間(30日間)を越えるケースは4回起きています(記事末の表参照)。いずれも2000年より前ですが、1997年のケースは990時間(41日越え)という最長連鎖記録でした。ところが、今年の台風9号発生から今日15:00までの連鎖は既に822時間となっているのです。これには驚きました。下図は1997年と2018年の台風連鎖・タイムチャートで、横に伸びる棒グラフが該当台風の存在期間を表します。隙間無く発生してる状況が分かるでしょう。



禺画像]
台風19号と20号は今週いっぱい続きそうですから、過去1、2を争う長さになるのはもはや明らかでしょう。こういった記録は何だか嫌ですね。(※追記:最終結果は8月25日の記事参照。

懸念材料がもうひとつあります。ハワイ付近から東経180度線を越境して台風17号となったハリケーンHECTORに似たコースを、新たなハリケーンLANEがやって来てるのです。既に気象衛星ひまわりでも確認できます。右はJoint Typhoon Warning Center(JTWC)からの引用で、図の上側がHECTORの進路予報#28、下がLANEの進路予報#21(本日午後発行)。だいたい似た位置の図を比較しました。

ハリケーンLANEはHECTORよりひとまわり弱いようで、ハワイを過ぎた辺りから北寄りのコースを取るため越境しないかも知れません。ただ、時間が経ってみないと実際にどうなるかは分からないため、万が一越境台風となったら、台風連鎖に荷担してしまう可能性があるでしょう。

いつかは穏やかな日々がやってくると思いますが、それにしても今年はかなり狂った状況ですね。今年起きたことは来年、再来年…再発する可能性を引き上げることになるでしょう。気象は(人間にとって)良いほうにも悪いほうにも転びます。「想定外」と言わないためにも様々なケースを心に刻んでおく必要がありそうですね。


【台風連鎖時間が720時間以上に及んだケース】
連鎖開始日時
(JST)
連鎖終了日時
(JST)
継続時間
(時間)
期間中に存在した台風番号
1967年8月18日
9:00
1967年9月25日
9:00

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