禺画像] 26日のテキサス上陸後に大量の雨を降らせたハリケーン「Harvey」は、熱帯低気圧に衰えながらも今日で5日目を迎えました。28日には一度メキシコ湾へ出ましたが、30日9:00UTC(18:00JST)頃にルイジアナ州へ再上陸。緩やかに勢力を下げつつ、尚も雨を降らせています。
左は30日18:00UTC(31日3:00JST)の気象衛星画像(画像元:RAMMB/画像処理は筆者)。大西洋からアメリカ大陸にかけて幾つもの大渦が見えますが、フロリダ半島西に見えるのがHarvey。いまだにこんなところにいることが驚きです。
大きな災害となっているのが降雨による洪水で、ニュースでも惨憺たる様子が伝えられています。右下図はNational Hurricane CenterとAdvanced Hydrologic Prediction Serviceで公開されているいくつかのデータを組み合わせ、Harveyの30日12:00UTC(21:00JST)までの経路と、23日から29日までの1週間累積降水量(解析値)を地図化したもの。日付が書いてある点はその日0:00UTCのHarvey中心位置です。集計した1週間にはハリケーンの雨が全期間含まれます。上陸前はほとんど降ってなかったので、ほぼHarveyによる雨と考えてよいでしょう。
元データはインチ表示だったので、敢えてそのまま掲載しました。単位を見なければ気にもならないけれど、紫色の部分…ちょうどヒューストンの街があるところが降水量40インチ以上です。1インチは25.4mmですから、40インチは1メートルと16mm。これが実質5日ほどで降ってしまったのです。地区の全域で1メートル!?ぞっとしませんか?ピンク(約900mm)や赤(約750mm)の所だって十分過ぎるくらい多いでしょう。地図を描いてる途中で「間違いじゃないのか?」と何度も目を疑ってしまいました。ざっくり言うと、この夏に日本を襲った九州豪雨や奄美豪雨の2倍の量が半分ほどの時間に降った計算になるでしょう。ほとんど起伏のないヒューストンの至るところがあっと言う間に水没してしまいました。 今回降った雨は15兆ガロンとも20兆ガロン(約56.8兆〓75.7兆リットル)とも言われ、これは2005年に甚大な被害をもたらしたハリケーン「Katrina」の6.5兆ガロン(約24.6兆リットル)の2倍から3倍に相当します。
地図中にCedar Bayouという地名が書いてありますが、左表にまとめたようにHarveyによる総雨量(速報値)がなんと1317.75mm(51.88インチ)を記録しました。暫定値ながら1つの熱帯低気圧による総降水量としてはアメリカ本土内の最高記録とのこと。
【Harveyによる降り始めからの総降水量】
順位 |
場所 |
降水量(mm) |
1 |
CEDAR BAYOU AT FM 1942 |
1317.75 |
2 |
CLEAR CREEK AT I-45 |
1254.76 |
3 |
DAYTON 0.2 E |
1250.44 |
4 |
MARYS CREEK AT WINDING ROAD |
1249.68 |
5 |
SANTA FE 0.7 S |
1186.18 |
6 |
PASADENA 4.4 WNW |
1161.80 |
7 |
BEAUMONT/PORT ARTHUR |
1161.54 |
8 |
HORSEPEN CREEK AT BAY AREA BLVD |
1158.24 |
9 |
SOUTH HOUSTON 4.0 SSW |
1140.71 |
10 |
BERRY BAYOU AT FOREST OAKS BLVD |
1137.92 |
11 |
BERRY BAYOU AT NEVADA |
1128.78 |
12 |
FRIENDSWOOD 2.5 NNE |
1118.87 |
13 |
LITTLE VINCE BAYOU AT BURKE RD |
1105.41 |
14 |
HOUSTON WEATHER FORECAST OFFICE |
1101.85 |
15 |
LEAGUE CITY 2.7 NE |
1100.33 |
16 |
WEBSTER 0.4 NW |
1100.33 |