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日本近海の海底地形にある「空、自然、季節に関する名前」を持つ地物めぐり、第二回目です。今回は「七草」に関する名前の海山があるのでご紹介しましょう。場所は左のA図、白い長方形のところ。拡大したものが下のB図です。ここは小笠原諸島の東側で、南鳥島(日本最東端)の西側。伊豆・小笠原海溝を東に越していますから「太平洋プレート」の上ですね。
七草とはまた洒落た命名と思いました。山上憶良も空の上で驚いてるでしょうね。地図を描くと海山が七つずつ、2群に分かれているところが素晴らしい。でも今後の調査で増えちゃったらどうするのでしょう?七草以外の野草名を付けるんでしょうか?日本固有の草花だといいですね。ちなみに命名は概ねひとつのエリアにひとつの特徴を持たせているようで、惑星なら惑星、植物なら植物が、それぞれの地域にまとまっています。干上がった海に住むことになるであろう未来人は「どうしてこの地方は植物名の山ばかりあるんだろう?」って不思議に思うことでしょう。
北斗七星の配列のように並んだ春の七草海山群から小笠原諸島に向かって山々が連なり、海溝近くで高台になっています。ここは「小笠原海台」と呼ばれ、ここより北を「伊豆・小笠原海溝」、南を「マリアナ海溝」と区別するようです。実際は太平洋プレートがまとまってフィリピン海プレートに沈み込んでいくわけで、北と南とで性質がガラッと変わる訳ではないでしょう。ただ近年はプレートの調査がかなり進み、細かく分けられるようになりました。上になるフィリピン海プレートのうちマリアナ海溝に沿った小さなエリアを「マリアナプレート」と区別するそうです。他にもプレートが細分化され(C図参照)、正直なところ覚えきれません…。
いっぽう沈み込む太平洋プレートに注目すると小笠原海台のところだけ海溝がなくなっているように感じ、見方によっては「海底の山々が隙間(海溝)に食い込んで、沈み込みが渋滞してる」ように考えられるかも知れません。うまい表現が見つかりませんが、海溝に沿った『巨大ファスナー』が海山を噛んじゃった、と言ったら良いのか…。(私の住む茨城の方言だと「海山がたごまってる」という表現がピッタリ!)プレートは滑らかじゃないので、海山もろとも沈み込むと特定のタイミングで上のプレートに引っかかります。
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(C) それが巨大地震のきっかけになるのかも知れませんね。太平洋プレートの境界をぐるりと見渡しても、こんな大規模の食い込みは他に見当たりません。小笠原諸島海域が他よりも一段高いのは、食い込んだ山々がプレートを押し上げた結果かな…?同様のことは伊豆諸島や富士山でも言えそうですね。(※小笠原海台付近で大きな地震が多いことは
第三回目のC図をご覧頂けば分かるでしょう。)
七草エリアから北東におよそ1000kmあまりのところで地球最大の単一火山「タム山塊」が発見されたニュースが2013年9月に流れました(
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