グレージング現象を観察しよう
2017-01-19


※この記事は主にご近所さん(茨城県県南地区)で観察される方向けに書いた情報ですが、観察条件が良く該当エリアも長いため、ご興味ある方は活用してください。観察可能なのは九州北部、中国地方の瀬戸内海側、近畿や中部、関東に至る幅の細い地域(記事下の地図参照)です。個人予報のため何の保証もできませんから、できるだけ他の複数情報を探してクロスチェックでお願いします。

来る2017年2月4日に茨城県南を通る「グレージング」があることを知人から知らされました。計算してみると観察条件が大変良く、土曜の19時台でもあるため見やすい時間です。ぜひ多くの方に観察していただきたいため、簡単ですが予報を掲載します。

禺画像]
グレージングとは「接食」とも呼ばれ、月の縁ギリギリを星がかすめる現象。完全に隠されてしまう「掩蔽」とは違い、見た目が変化に富んで興味深いのです。月には高い山や谷があるので、縁ギリギリを恒星が通るとき地形によって潜入と出現が短時間に何度もくり返されることがあります。また恒星が二重星の場合、パッと消えずに、段階的に消えたり現れたりすることもあります。観察に望遠鏡は必須ですが、月と恒星がストレスなく見えるなら小型でも十分です。

2月4日はちょうど上弦を少し過ぎた頃。月面Xデーなので、夕方暗くなるとX地形がよく見えるでしょう。ついでにグレージングも見てみませんか?恒星は19時-19時半頃(※地域によって現象時刻が異なる)に月の下側(南側)、右図の位置近くに見えます。今回はおひつじ座にある6等星なので明るくはないですが、月明かりに埋もれるほどでもありません。見えないときは上下を間違えないようにしながら倍率を上げて、月の明るい部分をできるだけ視野の外に追い出してみましょう。

禺画像] グレージングで恒星が接する付近の月縁は左図のような予報です。(※これは東経140°の場合なので、他地域は若干変化します。)当然ながら観察する位置や標高によって隠される度合いが変わります。左図に9本の平行線が月縁を横切っていますが、このラインに相当するのが下のGoogleMapに引いてある同じ色の予報線。つまり地図のこの線上で見ると月縁図の同色線に沿った恒星の見え隠れが期待できることになります。

予報はプラスマイナス2kmまでにしていますが、月縁図を見る限り、赤のゼロラインに対して南に3km、北は6kmくらい離れても何らかの現象が期待できそうですね。現象時刻はマップ上の赤丸アイコンをクリックすると表示されます。観察を予定するいちばん近くの時刻を基準に、プラスマイナス5分くらい観察してみましょう。予報は標高を考慮してないため、観測位置によって時刻や見え方が若干ズレてしまうことを見込んでください。

多人数で観察できる場合はラインを少しずつ分散させて布陣し、各々が時刻を正確に測ってみましょう。望遠鏡を見ながら時報と一緒に「ハイ、消えた。ハイ、出た。」と声を録音するのも良いし、望遠鏡にビデオや動画の撮れるデジカメをセットして時報と一緒に録画するのも良いですね。結果を集計し、適当な基準時刻を中心に月縁図の線上へ書き込むと、点滅に応じて月の輪郭が現れます。結果は往々にして予報と異なりますが、そこが面白いところ。観察・観測とは「予報されていることをなぞる」ことではないですから。まぁ、初めての方は眺めるだけでも面白いので望遠鏡を向けてみてください。

【2017/02/04グレージング予報マップ】(恒星:HIP14764=ZC462・おひつじ座の二重星、光度6.0等、月齢:7.4)
※必ず地図下のコメントをお読みください。
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