気象衛星がとらえた金環日食による月の影
2016-09-01


>> アーカイブ:気象衛星が観た地球

禺画像] 本日夕方は新月でした。日本では何も起こらなかったですが、アフリカなどでは金環日食が起こりました。実際に現地へ行った方やネット中継を見たという方もいらっしゃるでしょう。

半年前の2016年3月9日にも皆既日食がアジア圏で起こり、日本でも部分日食となったことはご記憶の方も多いでしょう。そのとき気象衛星ひまわりによって「地球に投影された月の影」が撮影されたことを当ブログでも紹介しました(関連記事)。では今回の日食でも可能でしょうか?

左にNASA Eclipse Web Siteから今回の日食図を引用します。赤線にはさまれたごく狭い範囲が金環日食の可視範囲。「気象衛星に写るかどうか」は、「日食が起こる場所が気象衛星の撮影範囲かどうか」次第です。アフリカはさすがに範囲外ですが、左の日食図で赤線がアフリカから右下に伸びていますね。ここは赤道より南側のインド洋で、オーストラリアの西海域まで達しています。月影の中心は赤い線に沿って左から右へ移動しますから、10:00UT(日本時間で19:00)以降に撮影された衛星画像なら写る可能性が出てきました。

禺画像]
いっぽう衛星が写している地球可視画像は右画像の通り(画像元:NICTサイエンスクラウド)。本日18:00の画像に地図や経緯線を合成したものです。プログラムを組んで日食図の赤線を気象衛星ひまわり撮影位置に描いたのが地球左下の赤線。19時から20時あたりにこの赤線周囲の変化を調べれば良いことになります。

…ということで、下に19:00から20:10まで10分おきに撮影された気象衛星画像をトリミングして掲載しました。地球の左下縁から侵入してきた暗いエリアが移動し、最後は地球自身の影に飲み込まれていく様子が分かりますね。このとき地球の影付近で日食を見た人には、金環日食のまま水平線に没する太陽が見えたことでしょう。金環日食では皆既日食より地上が明るいので月の影がどこまで映るか不安でしたが、実にはっきり見えて驚きました。



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