あえて言うと(b)図も正確ではないでしょう。地球儀を見たら分かりますが、左図(GoogleEarthによる)のように北極側から見れば日本は円周より内側にあるし、赤道側からみれば平均北緯35度あたりです。もちろん「日の入りから約30分後」と書いてありますから、日周により夜側へ少し回り込んでいるでしょう。
緯度による視点変化までは中学生に求めないかも知れませんが、もし軌道計算プログラムを自作できるような生徒さんなら、元図が大雑把すぎてどう考えれば良いのか不安になるかも知れません。更に知っている生徒さんなら「地球軌道が直径10cm程度の図なら地球直径は0.005mmにも満たないから、視差なんて問題にならない」と考え、設問図とのギャップに悩むかも…。実際の図の大きさは分かりませんが、A4版程度なら地球は本来見えないです。模式図と言えど(a)図と(b)図で大きく差が出る作図はあり得ないでしょう。そもそも、設問はつっこみどころがたくさんあります。たとえば次の様なことです。
- 観察場所が日本とは言ってません。場所まで星座や惑星位置から推察させるのは中学生に難しいのではないでしょうか。(春分の日に近いので、位置が決まれば時刻はおおよそ推測できますが…)
- なぜ図を見づらくするような星座絵を入れたのでしょう。意図はなんでしょうか。(→以降の問いに必要になるのですが、それにしても煩雑すぎる…)実際、日の入り30分後にうお座などは絶対見えません。最初の画像は日没40分後ですが、火星がやっと見える程度でした。この画像でおひつじ座が分かる人はすごいと思います。
- 模式図の軌道径、天体径、比率などのデフォルメがバラバラ過ぎるので、作図によって正確な位置関係が分かり辛い。デリケートな作図が必要な問題ほど正確な原図が必要です。(※この図だと金星は月並みに大きく見えるはず。)
- 天体望遠鏡による金星の形は「上下左右逆」と書いてありますが、元が倒立像かどうか分からないし、何を基準に像の向きを決定しているかも明記してないです。(※最初の画像中の金星拡大は「天の北極」を上にしています。)
曖昧さを回避する一案として、右のような改訂も考えてみました。ただ、これがベストとは思いません。元々の設問は「地心視差」とか「反射望遠鏡や直角プリズムでの観察は上が上にならない」など観察に精通している生徒さんほど深読みして、回答に迷う可能性があります。問題を作った人は「中学生はこう考えなければいけないというパターンを用意してた」わけで、「パターン通りに答えてくれる人のみを選抜」するような問いかけをしたことになります。作図で解答を導くことが悪いわけではないけれど、「補助線を引く技能」とか「作図の綾にだまされない業」を試験するのではなくて、「天体の位置関係を立体的に把握できますか?」という本筋をぼかさないでほしいですね。生徒さんに気を使わせる問いでは試験にならないでしょう。それでは先生と生徒の立場が逆でしょう。
脱線しますが、この設問を目にしたとき浮かんだのが左下の有名なパズル。分野もアプローチも全く違いますが、作図の曖昧さを逆手に取ってます。※このパズルは小学生の答え方と高校生の答え方がかなり違い、思考幅を理解するのに役立ちます。
作図の曖昧さと言えば、この記事に引用した設問が白黒反転であることに気がつきましたか?実は意図してやってみましたよ。天文分野のテストの際、多くのケースで星空ベースが白(紙の色)、星が黒塗りで描かれます。これも誤解を受けやすいポイント。位置を示すだけならまだしも、月や惑星の光っている側があやふやな事もあります。例えば○、●、
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