飛び交うオリオン座流星群とハッブル宇宙望遠鏡
2018-10-22


禺画像] 昨夜から今朝も良い天気に恵まれました。宵のうちに十三夜の月を楽しめたので十分満足でしたが、明け方近く、月没後から薄明開始まで1時間あまりの星空を放っておくのは勿体ない気がしました。とは言え、ひと晩前のように彗星を撮影するには時間がなさ過ぎます。

あれこれ考えた末、ちょっと冒険してみようと思い立ちました。折しもオリオン座流星群が極大です。障害を持つ身なので、いつもなら庭先で…と言う流れになるのですが、少し歩いて見晴らしよい場所に出向き、2時間ほど過ごしてみようと考えたのです。身動きが取れなくなったらどうしよう…というリスクはありますが、真夏ほど暑くないし真冬ほど寒くもありません。怖がっていても仕方ないので、カメラを持って出かけました。

月没の3時頃に合わせて出発し、3時半ごろから撮影を開始しました。撮影はカメラ任せで、自分はウォーキングやストレッチをしつつ、疲れたら寝転んで流れ星を探すという贅沢な時間です。気温は8度でしたが、動いていれば体はポカポカ。雲ひとつ無い天気で、群流星ふたつ、散在流星三つ、明るいイリジウム衛星も見えました。街中でこれだけ見えりゃ御の字ですね。

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カメラは冬のダイヤモンド(六角形)をカバーするように向けていましたが、綺麗に色付いた群流星がひとつ写ってくれました(左上画像)。どこに何があるかは右のマーカー入り画像をご覧ください。

この流星群の母彗星はかの有名なハレー彗星。約76年周期で太陽を周回している彗星ですが、現在どこにいるかご存じの方は少ないでしょう。ちょうどこの画像で言うとプロキオンの少し左側(画像外)です。太陽や地球に接近するときは大騒ぎしますが、遠いときは見向きもされませんね。「近日点通過日」は注目されるのに「遠日点通過日」は滅多に計算されません。ハレー彗星はあと5年と10日あまりで太陽から最遠となり、Uターンを始めるのです。

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さて、わざわざ出かけたのはもうひとつ理由がありました。2週間ほど前、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の姿勢を保つためのジャイロが壊れ、セーフモードに入ったというニュースが流れました(→NASA news)。これを知ったとき、地上から見送ってエールを送りたいと思っていたのです。ここ最近HSTが明け方の空を通っており、何度も撮影に挑戦していたのですが、ことごとく雲に邪魔されていました。

今朝は航海薄明終了後というかなり明るい空でのパスでしたが、何とか撮影に成功しました。右画像のオリオン座やおおいぬ座の下のほう、かすれた線状の軌跡がHSTです。実際の空は3等星が見えなくなるほど明るくなっていましたが、HSTは肉眼でギリギリ見えました。(※右画像は強い画像処理で薄明光を軽減しています。)HSTの軌道傾斜角(地球赤道面に対する傾き)は約28.5°と小さく、計算上は奄美大島相当の北緯でやっと天頂まで登る程度なので、当地・茨城からは南の低空にしか見えません。(因みにISSは約51.6°あるため、日本全国の空を南北に縦断してくれます。)

もう耐用年数をはるかに超えて運用されているHST。そろそろ休ませてあげたい気持ちもありますが…たくさんの素晴らしい宇宙の姿を見せてくれた宇宙望遠鏡の無事を祈ることが、やっと叶いました。

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