禺画像] 本日5月9日、木星が「衝」を迎えます。衝とは地球を挟んで太陽と惑星とが正反対になること。もう少し正確に言うと「何らかの基準座標系で測ったとき、太陽と対象惑星の位置差が180°になること」です。今回の木星の衝は、黄道座標系では5月9日9:39JST、赤道座標系では5月9日17:36JSTとなります。
衝のころの木星は一晩中夜空に輝き、また地球に近くなるため大きく明るく見えます。まさに観察好期と言えましょう。今夜晴れていたら望遠鏡で眺めたいのですが、当地・茨城は明日まで天気が回復しそうにありません。
木星は比較的小さな望遠鏡でも複雑な縞模様や大赤斑(GRS/Great Red Spot)と呼ばれる構造が観察できます。長期に渡って観察していると様々なことに気付かされますが、近年特に言われるのは「大赤斑が小さくなった」ことや「色が薄くなった」こと。少し古い画像ですが、左上画像はNASA・ハッブルサイトで紹介されていた大赤斑の変化。20年ほどの間にこれだけ縮んでしまいました。今後どうなってしまうのでしょうか?長期の継続観察が欠かせませんね。
木星は約12年弱で太陽を一巡りします。いっぽう地球から見た衝から衝までの間隔、つまり「会合周期」は約399日。土星との会合周期・約378日より長いですね。木星が1公転する間に地球と11回近く会合し、その度に距離が極小になるということです。
ひと言で「最接近」と言っても、「1会合周期の中での最接近」と「木星1公転の中の最接近」とふたつのニュアンスで使われることがあって、それぞれ意味が違いますから混同しないようにしましょう。
「火星と地球の接近図」、および
「土星と地球の接近図」を作ってきたので、今回は「木星と地球の接近図」を描いてみました(右図)。NASA・HORIZONSによる木星約3公転ぶんの計算データを元にしています。なかなか面白いパターンですね。春分点付近で接近するとき(地球が秋分の頃)がもっとも近くなり、今年の接近は「やや遠い接近」のようです。
下表は接近図に使ったデータからピックアップしました。今回の地球最接近は明日のようですから、お天気回復に間に合うでしょうか?まぁとにかく、梅雨になってしまう前にぜひ木星を堪能してくださいね。
アーカイブ「木星の衛星現象一覧」なども参考に衛星も一緒に観察してみましょう。
【木星と地球の接近】 ※衝の日時とは若干違いますのでご注意。
地心接近日時
(JST) |
地心距離
(AU) |
地心距離
(km) |
光度
(等) |
赤道視直径
(秒角) |
極視直径
(秒角) |
2000年11月27日 0:08 |
5.035713169763 |
605774898 |
-2.85 |
48.69 |
45.53 |
2001年12月31日 10:02 |
5.170543878222 |
626435541 |
-2.72 |
47.08 |
44.03 |
2003年2月2日 4:15 |
5.312411994696 |
647331010 |
-2.59 |
45.56 |
42.60 |
2004年3月4日 18:15 |
5.417081847015 |
662068182 |
-2.50 |
44.55 |
41.66 |
2005年4月4日 22:41 |
5.456497651426 |
666704844 |
-2.47 |
44.24 |
41.37 |
2006年5月6日 8:47 |
5.420894608159 |
660131329 |
-2.50 |
44.68 |
41.78 |
2007年6月7日 21:11 |
5.318829555674 |
643926563 |
-2.60 |
45.80 |
42.83 |
2008年7月10日 20:02 |
5.177465775689 |
622479692 |
-2.73 |
47.38 |
44.31 |