観察地形が適切に見えるかどうかは、「月面の観察地形に立ったとき、太陽が見えるか否か」「太陽高度はどれくらいか」と言う計算に帰着します。月面での日出没計算をする場合、大きなクレーターや山脈など面積のある地形では具体的な基点を定める必要があるでしょう。当アーカイブでは以下を基本に代表点を定めています。
- 上弦と下弦の両方で見える場合は中心付近を代表点とする。…ほとんどの地形はこちらのケース。
- 上弦か下弦か片方のみで見える地形は、その地形内で太陽の対面側(上弦なら西側/下弦なら東側)の適切な最高地点(最初に日が当たると考えられる地点)を代表点とする。…月面Xなどの文字地形は日照方向に依存するのでこちらのケースになる。
- 極小クレーターや宇宙船着陸地などはNASAやIAUなどが公的に定める特定点とする。
- あまりにも広い地形が対象の場合は分割して考える。…広い海や長い山脈など。
例えば地球で「○月△日、世界各国の日出時刻」を計算するとき、各国の『代表点の決め方』を最初に定める必要があるのと同じ理屈です。一国内ですらばらつきが出ますから、「日本の日出時刻」等とひとくくりに決まるわけではありません。首都で計算するのか、最高峰のてっぺんが良いか、標準時子午線上にするか、それとも東に突き出た岬に設定するのか、という議論になるでしょう。場所にかかわらず計算は可能ですから、本質的には「一意に決まるならどんなルールでも良い」のです。